酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「気温ほぼ30度以下」高校球児の夏は甲子園だけでなく…「元プロが助っ人」「参加費27万円は自己負担だが」北海道とエスコン開催イベントに密着
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJBI
posted2024/09/09 06:00
「LIGA Summer Camp」の集合写真。エスコンフィールドHOKKAIDOが甲子園とまたひと味違う“聖地”になる日も来るのかもしれない
会場は札幌市からは車で1時間ほどの栗山町の栗山町民球場。素朴だが、緑に囲まれ、青々とした芝が美しい球場だ。期間中、気温は30度に達することはほとんどなく、別天地のようだった。
選手たちはまず、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会の中村聡宏代表理事(立教大学准教授)によるスポーツマンシップ講座を受講した。このサマーキャンプは野球を通じてスポーツへの理解を深め、メンバーが卒業後も人間的に成長するためのマインドを醸成する目的がある。すなわち、スポーツマンシップへの理解は必須だった。
集まった選手はアギラス、エストレージャス、レオネス、ティグレスの4つのチームに振り分けられ、各チーム6試合のリーグ戦を戦った。試合は基本的に9回制だが、日程により7回制の試合もある。
4チームには、監督にあたる「コーディネーター」がつく。コーディネーターは、慶應義塾大や弘前学院大の1、2年生の学生コーチが担当。選手の起用やアドバイスなどを行う。
荻野忠寛、大引啓次といった元プロも参加
また、試合全体の運営オペレーションはLiga Agresiva参加校の高校指導者が担当し、プレーそのものだけでなく、試合に臨む姿勢、考え方などについて、適宜アドバイスをしている。
さらに、千葉ロッテでクローザーとして活躍した荻野忠寛氏と、日本ハム、オリックス、ヤクルトで内野手として活躍した大引啓次氏がアドバイザーとして参加している。2人はアマ指導者の資格を回復し、荻野氏は社会人野球・JFE東日本のコーチ、大引氏は日体大硬式野球部の臨時コーチを務めている。
ユニークなのは各コーディネーターに、この2人の若い元プロ選手を試合で1回だけ起用できる「荻野カード」「大引カード」を持たせたことだ。味方のピンチに“荻野投手”を起用したり“大引選手”を二塁手で起用することができる。高校生にとって、「元」とはいえ、プロ野球選手と同じグラウンドで試合ができるのは、興奮する状況だろう。
投手は最大120球の球数制限をしている。また登板間隔にも規制がある。バットは木製バット。 リーグ戦が始まってから各チーム捕手の負担が大きいことが分かったので、試合で捕手が安打や四死球などで出塁した際には「臨時代走」を出し、コーディネーターも適宜試合に出場できることにした。
各校の関係者や大引氏に聞いた“率直な感想”
運営オペレーションを担当した各校監督や部長、大引氏に話を聞いてみた。