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「気温ほぼ30度以下」高校球児の夏は甲子園だけでなく…「元プロが助っ人」「参加費27万円は自己負担だが」北海道とエスコン開催イベントに密着

posted2024/09/09 06:00

 
「気温ほぼ30度以下」高校球児の夏は甲子園だけでなく…「元プロが助っ人」「参加費27万円は自己負担だが」北海道とエスコン開催イベントに密着<Number Web> photograph by JBI

「LIGA Summer Camp」の集合写真。エスコンフィールドHOKKAIDOが甲子園とまたひと味違う“聖地”になる日も来るのかもしれない

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 8月17日、甲子園で3回戦の熱戦が行われていたその日に、エスコンフィールドHOKKAIDOでは、もう一つの高校野球が行われていた。

「LIGAサマーキャンプ2024in北海道」

 以前のコラムでも取り上げたが――夏の地方大会を終えて、高校野球生活が終わった高校3年生を対象とした野球キャンプが、今年から開催された。

 このイベントに集まった高校3年生52人が、4チームに分かれてリーグ戦を行い、その勝者2チームによるプレーオフが実施された。

プロ志望届を出した投手の好投、強豪校の打者がHR

「台風が去って猛暑が戻ってきました。道内各地は最高気温が30度に迫るでしょう」

 テレビが、本州以南からすれば異次元のコメントを流す中、高校生たちは上気した顔でプレーした。

 プレーオフはエストレージャスとアギラスという2チームの対戦で、最初にマウンドに上がったのはアギラス澁谷純希だった。地元帯広農、今夏は十勝予選で敗退した。181cmのがっちりとしたプロも注目の左腕で「プロ志望届」も出している。しかし、ひじを痛めて満足に試合に出ることができずサマーキャンプに参加し、澁谷は2回を無失点に抑える。

 その裏、エストレージャスの先発は、これも左腕の甲南・横田心大。甲南は今夏は5回戦で敗退した。横田は1回を三者凡退に切って取った。

 なおプレイボール時、エスコンフィールドの天井がゆっくりと開き始めると、曇天だったとはいえ光景が一変した。エスコンフィールドはいつでも天井を開けるわけではない。この球場の使用を快諾した球場側の「違った風景も見せてあげよう」という配慮だった。

 5回、エストレージャスの4番、桐蔭学園(神奈川大会の準々決勝で敗退)の若井勇輝が左翼にホームランを放つ。この日は、球場グルメを楽しむための一般客も入場している。客席から拍手が起こった。

 若井がベースを回って本塁に生還する。すると相手チーム、アギラスの捕手で北越の高橋倖冴が笑顔で出迎えた。このサマーキャンプでは「スポーツマンシップ」についても学ぶ。良いプレーが出れば、敵味方なく「ナイス!」とたたえるのがLIGAの流儀なのだ。

 6回、北星大付の石田充冴(アギラス)がマウンドに上がる。191cm、こちらもプロ注目の大型右腕で、伸びやかなフォームはスケールの大きさを感じさせる。このキャンプではやや調子が上がらず打ち込まれるシーンが見られたが、札幌予選で敗退した時点で、父がサマーキャンプを見つけて参加を勧めた。

 アギラスはリーグ戦ではエストレージャスに2勝したが、試合は8-0と思わぬ大差でエストレージャスが勝った。とはいえ、高校生たちは夢のような2時間余を過ごした――。

気温はほぼ30度以下の快適な環境

 LIGAサマーキャンプは、8月7日、夏の甲子園の開会式の日に始まった。

【次ページ】 荻野忠寛、大引啓次といった元プロも参加

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