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甲子園の風BACK NUMBER
「絶対に本塁打だと。助けられましたね」“飛ばないバットへの本音”…投手・守備陣と名将にセンバツで聞いた「意外と楽ではないんです」
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![間淳](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/10 11:11
![「絶対に本塁打だと。助けられましたね」“飛ばないバットへの本音”…投手・守備陣と名将にセンバツで聞いた「意外と楽ではないんです」<Number Web> photograph by JIJI PRESS](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/f/700/img_7f83a198232d271319af5fa14d1bc538234947.jpg)
今センバツから採用された“飛ばない”新基準バット。選手、監督が語った“ホンネ”からあらためて野球を検証してみる
「打者の反応を見る限り、遅い球は捨てている感じだったので不安はなかったです」
さらに、自信を深めた打球があった。4回、八戸学院光星・三上祥司選手に初球の直球を完璧に捉えられた。マウンド上の佐宗も捕手の能美も「やられた」と本塁打を覚悟した。ところが、打球はレフトフェンス直撃。スタンドインを免れた。能美が振り返る。
「逆風が吹いていたわけでもなかったので、間違いなくスタンドに入ったと思いました。確実に低反発バットのおかげです」
「意外と楽ではないんです」と捕手が語ったワケ
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佐宗も心境は同じだった。
試合後、「打たれた瞬間、絶対に本塁打だと思いました。バットに助けられましたね」と表情を緩めた。
佐宗と能美のバッテリーは、たとえカーブを狙われたとしてもフェンスは越えないと確信した。昨秋から今春にかけて精度を磨いてきたという緩いカーブ。時には勝負球、時には直球を生かす見せ球として効果的に使った。
佐宗は「バットが変わって飛距離が出ないので、ストライクゾーンで勝負できます。自分本来の打たせて取る投球がしやすくなりました」と語る。能美も「投手陣は今まで、丁寧にいく意識が強すぎてボール球が多くなるケースがありました。低反発のバットになって強い球を投げる意識になり、ストライク先行になった部分は大きいです」と話した。
長打が出にくくなれば、バッテリーの負担は軽くなると想像するだろう。だが、そう単純な話ではない。能美が吐露する。
「意外と楽ではないんです。自分たちのチームの点数も入りにくいので、バッテリーにはプレッシャーがかかります。僅差の展開やタイブレークが増えるので、投手の負担は大きくなります」
今センバツは1回戦16試合のうち3試合が延長タイブレークに突入し、その他にも1点差の決着が6試合あった。神宮大会を制して優勝候補筆頭にも挙げられる星稜でも、1回戦は田辺に4-2、2回戦は八戸学院光星に3-2と接戦にもつれている。
“参加校有数の守備率”明豊の内野守備が乱れたワケ
新基準の“飛ばないバット”は内野守備にも影響を及ぼしていた。
守備率の高さが参加校有数だった明豊は内野が乱れた。