- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
“高校生の木製バットが折れる”珍事も…なぜ「低反発よりも打球に伸びがある」センバツ球児は本音で語ったか「まずは飛ばせるように」
posted2024/04/10 11:10
text by
間淳Jun Aida
photograph by
JIJI PRESS
センバツで初めて金属バットが導入されてから49年。3月31日に閉幕した第96回選抜高校野球大会は、開幕前から新基準バットの導入が話題となった。
日本高校野球連盟の検証では従来の金属バットより飛距離が5メートルほど落ちるとされる低反発バット。公式戦で初めて使う監督や選手からは「外野への飛球は10メートルくらい距離が出なくなったと感じる時もある」、「飛ばないと思い込んで力んでしまっているのか、捉えたと思った打球が失速する」といった声が漏れていた。
木製バットが2人の青森山田と、新基準を選択した広陵
バットの変更をめぐって、中でも注目されたのが青森山田と広陵だった。
ともにセンバツ前の練習や練習試合で木製バットを試し、主軸の選手は新基準のバットと木製バットのどちらを甲子園で使うか天秤にかけていた。悩んだ結果、出した結論は分かれた。青森山田は2人の選手が木製バットを選び、広陵は全員が新基準のバットで臨んだ。
バットの選択で悩んだ両校は奇しくも2回戦で激突した。
青森山田は3番・對馬陸翔選手と5番・吉川勇大選手が1回戦同様、木製バットで打席に入った。勝敗を決定付けたのは對馬だった。
無死一、二塁から始まるタイブレークの延長10回裏、先頭の對馬は定石通りバントの構え。1球目をサードの前に転がす。広陵のサードがダッシュで捕球して一塁に送球するが、對馬が先に一塁ベースに到達した。無死満塁とチャンスを広げた青森山田は、続く打者の犠牲フライでサヨナラ勝利を収めた。
バットや技術の問題ではなく…
對馬は初回にも無死一、二塁の場面で打席に立っている。この時も送りバントのサインが出たものの、2球ともファウルにしていた。木製バットはバントがしにくいのか。
對馬は試合後、否定した。