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格闘技PRESSBACK NUMBER
「中日の監督にケンカを売ったと書いてください(笑)」令和の米騒動に喝!“マッスル米農家ファイター”手塚裕之が語る「僕が減量しない理由」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byNumber Web
posted2024/02/16 17:15
実家の田んぼで収穫した米を担ぐ手塚裕之。筋骨隆々の肉体はこの「米」によって作られた
契約体重はONEのウェルター級のカテゴリーである83.9kg以下だったので、全く問題はなかった。手塚は「そもそも僕の場合、ウェルター級でもキャッチウェイトでも減量はないので、どちらでもいけると思いました」と振り返る。
「もっと言うとウェルター級リミットの2kg近くアンダーでした。行きの飛行機の機内食だけではなく、計量日の3食も普通に食べていましたね」
身長168cmでもウェルター級で活躍できる理由
減量しないメリットはあまたある。手塚は「計量前でも美味しいものが食べられますから」と切り出した。
「そうすることで、ストレスフリーで試合に臨むことができる。やっぱり生物として強くなるうえで、減量という行為は矛盾しているんじゃないかと思ってしまうんですよ」
減量の過程では最終段階で水抜きを行う選手も多いが、失敗して意識を失い緊急搬送されるケースは後を絶たない。手塚は「階級の決定が自分の意志ではなく、ジムからの指示であるならいかがなものか」と持論を展開した。
「自分より小さい相手と闘うことを目的に減量する人も多いじゃないですか。実際、(計量翌日の)試合になったら体格差のある試合もありますから。そういう考えを女々しいと言ったら語弊があるかもしれないけど、格闘家として強くなりたいという気持ちがあれば、減量にそんなにこだわる必要はないんじゃないですかね。強さを追い求めて格闘技を始めたのに、なぜ減量でそんなことを考えないといけないのか、と」
手塚の身長は168cm。ONEウェルター級戦線の中では最も小柄な部類に属するので、対戦相手が自分より背が高いことを前提とする闘いに慣れている。いまでは「この階級だからこそ、自分の身体能力をうまく発揮できる」とさえ考えている。
「この間の試合は2kgほどアンダーだったので、試合後にスタッフから『次は階級を落とした方がいい』と進言されました」
実際に階級を落とすとどうなるのか。手塚はすでに自分がライト級で闘ったときの状況をシミュレーションしている。
「体重を落とした分、相手のスピードについていけなくなると思います。逆にウェルター級だと、自分のスピードを活かせている。この階級だと自分は速い方ですから。ライト級に落としたら、それがアドバンテージではなくなってしまう」
野性味タップリながら、格闘家としての分析力もピカイチ。2021年以降、手塚はONEで3連勝をマークしている。
そんなビーストは、強くなるためにどういったトレーニングを行っているのか。後編では、大自然や“手作りのジム”を活用した特殊すぎる練習環境を掘り下げていく。
<後編に続く>