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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「美談にしちゃいけない」ボクサー・穴口一輝の逝去前日に、青木真也がインタビューで語っていたこと「格闘技がメジャーになる必要はない」
posted2024/02/15 17:01
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
1月28日のONE Championship日本大会では、試合当日の対戦相手変更というハプニングに見舞われた青木真也。試合後に行ったインタビューでは、2月2日に逝去したボクサー・穴口一輝選手にも言及していた。40歳を迎えたベテランが語る、格闘技という競技への本心とは――。《NumberWebインタビュー全2回/前編から続く》
1.28ONE Championshipでの試合を勝利で終えた青木真也の今後はどうなるのか。ONEとの契約が切れるのならRIZINに出てほしいという声も多いようだ。ただ青木自身は、RIZIN参戦に消極的だ。
「RIZINに出ても格が下がるというのか、消費されて終わっちゃうような気がするんですよ。ONEでは試合の文脈を丁寧に見せる作業ができていた。でもRIZINでは形を崩して、レベルを下げてマスに伝えなきゃいけなくなるでしょう。簡単に言うと、瞬間的な注目を集めるために掴み合い(会見などでの乱闘)をする気はないんですよ。
僕が相手にしてるのは根強い客。マスコミの世界で言えば書籍を売ってる。ネットの広告収入のためにPV、視聴数を稼ごうっていうんじゃないので。だからビジネスモデルが違うってことです」
「格闘技がメジャーになるようではヤバい」
そもそものところで「格闘技はメジャーなジャンルであるべきなのか」という考えもある。老若男女、全国津々浦々にまで届けようとは思っていないのだ。
「格闘技がメジャーになる必要はないし、なるわけないと思ってます。むしろ僕の倫理観の中では、これがメジャーになるようではヤバいなと。ボクシングも含めてね。相手にダメージを与える、相手を傷つけることを勝利の条件とするなんて、他のスポーツとは次元が違いすぎる」