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格闘技PRESSBACK NUMBER
「中日の監督にケンカを売ったと書いてください(笑)」令和の米騒動に喝!“マッスル米農家ファイター”手塚裕之が語る「僕が減量しない理由」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byNumber Web
posted2024/02/16 17:15
実家の田んぼで収穫した米を担ぐ手塚裕之。筋骨隆々の肉体はこの「米」によって作られた
「この間、馬刺しをオカズに2.5合の米を一気に食べました。そのときは自分でも『ひとりでこんなに食べられるんだ……』とビックリしましたね」
米をとらないアスリートといえば、昨シーズン低迷した中日ドラゴンズの立浪和義監督が発令した「試合前の野手に対しての白米禁止令」が記憶に新しい。この“令和の米騒動”について聞いてみると、手塚は「ご飯は日本人の腸に合った食べ物なので、ちょっと考えが短絡的ですね」と切り捨てた。
「理性も何もなさそうなジャパニーズ・ビーストが、中日の監督にケンカを売ったと書いておいてください(笑)」
「減量しない格闘家」の異端すぎる食生活
もっとも、個人差はあるにせよ、減量期に入った格闘家は食事制限を強いられる。最近も痛ましい死亡事故が起こるなど減量にまつわる問題が噴出しているが、手塚にとっては別世界の話だ。いったいなぜか。
「僕、減量しないんですよ」
取材の合間に、一緒に昼食をとる機会があった。手塚は地元で有名な中華料理屋の暖簾をくぐり、好物だという大盛りチャーハンを豪快に頬張りながら呟いた。
「試合の数日前まで、普通にここのラーメンやチャーハンを食べています」
手塚と比較するわけではないが、先日RIZINで2階級制覇を成し遂げた堀口恭司に「試合前に油っぽい料理を口にすることはあるか」と聞いたところ、「ずっと刺激物を胃袋に入れていないわけですから、そんなことをしたらお腹を壊してしまいますよ」と呆れられた。格闘家としては堀口が普通で、手塚の食生活が“異端”ということか。
計量直前はどの選手も総じて食欲を極限まで抑えているせいで、会場はピリピリとしたムードに包まれている。しかし、その中で手塚は唯一リラックスしながら体重計に乗るという。計量の意味を問うと、手塚は「計量はあくまで試合を行うための手段であって、目的ではない」と即答した。
「計量が目的になってしまうと、試合に集中できないですから」
減量がないから、いつでもスタンバイOK。昨年10月7日、タイの首都バンコクで1年9カ月ぶりに試合をしたときのオファーは「来週試合できますか?」というものだったという。決戦9日前の話だ。
「さすがに『嘘でしょ?』と言いたくなりました。マネージャーと相談して一度は断ろうかという流れになりました。普通に考えたら、そうなるじゃないですか。でも数時間後にはOKを出しました。ずっと試合を待っていたわけだし、ここまで来たら試合までの期間とか、贅沢は言っていられないと思ったので」