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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「大学で伸びる選手に一番大事なのは…」タイムでも、フォームでもなく…箱根駅伝“古豪チーム”のベテランスカウトは高校生のどこを見る?
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph byL)上野さん提供、R)JIJI PRESS
posted2024/01/03 11:01
(左)関東学院大で13年前からスカウトに携わる上野敬裕さん/(右)前回大会、関東学生連合チームで3区を走った内野李彗選手
「選手本人に言葉が届かない」残念さも…!
「一番悲しいのが、選手本人までこちらの意向が届いていない場合です。スカウトは当然、まずは選手本人ではなくチームの監督や顧問の先生に推薦の話を打診します。もちろんこれだけ多くの大学が駅伝強化に力を入れている中で、有力ランナーなら何校も話が来るので、選手サイドが大変なのは分かるんです。
そのために先生なりにフィルターをかけているんだと思うんですけど、選手本人が話が来ていたことすら知らないこともたまにあって、それはちょっと残念ですね。前述の通り、本人が『行きたい』と思えるチームに行けるかどうかでその後の成長にも影響がでる。その意味で、選択肢は多い方が良いんじゃないかな……とは思います」
スカウトの立場としてはハッキリ断ってもらえた方がまだ楽で、何度も足を運んだ結果、本人に「話が来ていたこと自体、あとで知りました」と言われるケースもあるのだそうだ。
ことほど左様に多大な労力を要する箱根駅伝のスカウト事情。
年始の2日間を彩るビッグイベントで力走するランナーたちの裏には、こういった多くのスタッフたちの汗と涙が込められているのだ。
上野敬裕(うえの・たかひろ)
1972年12月13日、千葉県生まれ。中学時代から陸上競技をはじめ、市立船橋高時代に主将として、全国高校駅伝8位入賞。関東学院大に進学後、大学3年次に怪我を理由に競技引退、指導者の道を志す。同大でアシスタントコーチを務めたのち、リクルートランニングクラブのコーチに就任。以降、世界陸上やアジア大会などで日本代表選手を輩出。2011年からは関東学院大陸上競技部のスカウト業務に携わり、現在は同部のゼネラルマネージャーを務めている。