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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「大学で伸びる選手に一番大事なのは…」タイムでも、フォームでもなく…箱根駅伝“古豪チーム”のベテランスカウトは高校生のどこを見る?
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph byL)上野さん提供、R)JIJI PRESS
posted2024/01/03 11:01
(左)関東学院大で13年前からスカウトに携わる上野敬裕さん/(右)前回大会、関東学生連合チームで3区を走った内野李彗選手
一方で地方に目を向けると、まだチャンスは転がっているのだという。
「長年スカウト活動を続けてきたおかげもあって、全国に応援団というか『こういう選手がいたよ』という話を教えてくれる学校関係者や、駅伝ファンの知り合いが増えました。例えば九州地方などは、関東から遠いこともあってか5000mで14分台の記録を持っている選手でもどこの大学からも声がかかっていないようなケースも結構、あるんです」
そうして知った情報をもとに全国津々浦々の大会に出向き、実際に走りを見る。
そこで見るのは、走りそのものはもちろんのこと、レースに向けた“心構えの作り方”も大きいのだという。
「まずテクニカルな話では、動き方は見ます。当然、それぞれ向き不向きもあるのですが、基本的にはダイヤモンドリーグ等で走っている外国人選手の動きに通じるような子は、その時にタイムが出ていなくても可能性を感じて声をかけることもあります。
あとはレース前の招集所やウォーミングアップの様子なども見ます。この辺はスカウトの好みもあると思うのですが、私はレース前に和気藹々と喋っているタイプよりは、本番に向けてちゃんと集中して、気持ちを作っている選手を評価します。そういう小さなところが勝負強さというか、レースでの執念に繋がるような気がするので」
狙うは「地方公立校のエース」
そういった観点で見ていくと、上野さんは結果的に“地方公立校のエース”のようなタイプの子に声をかけることが多いという。
「もちろんタイムもあって動きも良く、駅伝名門校で実績もある選手に行ければ一番良いですよ(笑)。でも、それは他校と競合するリスクが非常に高くなってしまうんです」
一方で公立校のエース格のような選手は、駅伝名門校出身でない分、一匹狼でトレーニングもそこまで追い込んでいないケースが多いのだそうだ。