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「マンCの売上高1148億円、浦和レッズ81億円」欧州メガクラブとのケタ違い格差…Jはどう資金力を高めればいいのか〈ブラジルからの視点〉

posted2023/12/27 11:04

 
「マンCの売上高1148億円、浦和レッズ81億円」欧州メガクラブとのケタ違い格差…Jはどう資金力を高めればいいのか〈ブラジルからの視点〉<Number Web> photograph by AP/AFLO

マンチェスター・シティと浦和レッズのクラブW杯準決勝。圧倒的な資金力と人材を誇る欧州メガクラブ相手に、Jクラブは今後どう処していくべきか

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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 クラブW杯を優勝したマンチェスター・シティは、売上高が天文的な金額となるなど、欧州メガクラブと他地域の経済格差は日を追うごとに広がっている。果たしてJリーグはどう資金力を高めればいいのか。フットボール王国ブラジル在住ライターからの視点でお届けする。(全2回の第2回/前編は#1へ)

「出し切った60試合目」

 12月22日、クラブ・ワールドカップ(W杯)の3位決定戦でアジア王者の浦和レッズがアフリカ代表のアル・アハリ(エジプト)に2-4で敗れた試合を報じた日本のあるフットボールメディアの見出しだ。

 この試合が2023年、浦和にとっての60試合目。浦和のサポーター・ファンの多くは、「長く過酷なシーズンの最後に迎えたこの大会で、6時間の時差と20度を超える気温差を乗り越えて北中米代表のレオン(メキシコ)を倒し、世界最強のマンチェスター・シティ(以下、シティ)に敗れた後、わずか中2日で迎えた試合で散った」と考え、奮闘したチームを誇りに思っているのではないか。

浦和の選手が死力を尽くしたのは大前提の上で…

 多くの故障者を抱えながら、浦和の選手たちが死力を尽くしたのは間違いない。そのことは重々承知しているが――あえて別の観点なり情報をお伝えしたい。

<この大会で、最も厳しい条件で戦ったのはシティ。また今年、フルミネンセは72試合を消化してこの大会に臨んでいた>

 シティは12月16日、プレミアリーグのクリスタル・パレス戦を消化し(2-2で引き分け)、極寒のマンチェスターから酷暑のジェッダへの移動を含めてわずか中2日で浦和と対戦。さらに、中2日で決勝でフルミネンセと戦った。

 この過酷極まりない状況で、シティがやったことはシンプルだった。分厚い選手層を利して、ターンオーバーを行なったのである。

シティ、浦和、アル・アハリ選手の出場時間を比較すると

 シティ、浦和、アル・アハリの直近3試合における選手の出場時間は以下の通りだ(注:南米代表フルミネンセ=ブラジル=は今季最後の試合を12月7日に終え、中10日で準決勝を、中3日で決勝を戦うという楽な日程だったので除外した)。

270分:シティ3人、浦和4人、アル・アハリ5人
200~269分:シティ2人、浦和6人、アル・アハリ3人
100~199分:シティ6人、浦和2人、アル・アハリ2人
1~99分:シティ5人、浦和3人、アル・アハリ7人
※合計:シティ16人、浦和15人、アル・アハリ17人

 3チームが起用した選手の総数は大差ないが、出場時間の内訳が大きく異なる。

【次ページ】 “レギュラーをほぼ固定する”戦い方の難しさ

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