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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「マンCの売上高1148億円、浦和レッズ81億円」欧州メガクラブとのケタ違い格差…Jはどう資金力を高めればいいのか〈ブラジルからの視点〉
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAP/AFLO
posted2023/12/27 11:04
マンチェスター・シティと浦和レッズのクラブW杯準決勝。圧倒的な資金力と人材を誇る欧州メガクラブ相手に、Jクラブは今後どう処していくべきか
シティが7億3100万ユーロ(1148億円。※編集註:当初の記事ではケタを多く表記した点を訂正いたしました)でトップで、以下、レアル・マドリー、リバプール、マンチェスター・ユナイテッド、パリ・サンジェルマン、バイエルン・ミュンヘン、バルセロナと続き、30位のサウザンプトンが1億7700万ユーロ(約279億円)。トップ30のうち16がプレミアリーグのクラブだ。ちなみに、プレミアリーグで売上高が最も少ないのがバーンリーの1億4600万ユーロ(約229億円)である。
つまり、シティの売り上げは浦和の14倍以上で、プレミアリーグで最少のクラブですら浦和の3倍近い。
近年、欧州ビッグクラブの多く(シティ、パリ・サンジェルマン、チェルシー、リバプール、インテル、ACミランなど)は外国資本によって買収もしくは経営権が移り、莫大な資金力を用いてフットボール強豪国の中心選手を集めている。しかし、Jリーグのクラブに同じようなことが起きるとは現時点では考えにくい。
ワシントンも指摘した“資金力向上”のための方策
世界のフットボールで歴然と広がる格差の中で、Jリーグのクラブが資金力を高めるにはどうすればいいのか。
まず考えられるのは、各クラブがアカデミーで優れた選手を育成してJリーグのレベルを高め、欧州クラブへ適切な移籍金で売却し、その資金を用いてアカデミーでの選手育成に再投資すると同時に国内外の選手を補強することだろう(ブラジルなど強豪国、さらに欧州4大リーグのビッグクラブ以外ではすでに取り入れられている手法である)。
そして、世界最先端のマーケティング手法を取り入れて売上高を伸ばし、なおかつ国内外の成長企業を取り込んでスポンサーに迎えることができれば強化のスピードが速まるのではないか。
ただし、資金力が高まったからといって簡単に強化できるほどフットボールは単純なスポーツではない。たとえば、2010年代、中国リーグの広州恒大(現在のクラブ名は広州)は大手不動産会社がスポンサーとなり、莫大な財力で南米や欧州から有名選手や監督を獲得。2011年から19年の9年間に8度、中国リーグを制覇し、2013年と2015年にアジアCLで優勝してクラブW杯でもいずれも4位となった。しかし、このことは中国のフットボール全体の強化、発展にはほとんどつながらなかった。
フットボールの本質を理解し、効果的に資金を投入しなければ、強化はできない。
つまり、ワシントンも語った通り――日本のクラブには、練習環境を整備して地道な選手育成を行なう一方で、斬新な発想による経営が求められるのではないだろうか。
<第1回「ワシントンに聞く」編から続く>