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「手を出してみぃ!」抜き打ちチェックに野村克也がなぜかニンマリ…「反復練習」「長所を伸ばす教育」は本当に正しい? 名将が語っていた野球界の意識改革
posted2023/09/23 11:02
text by
野村克也Katsuya Nomura
photograph by
Tamon Matsuzono
なぜ、苦しい練習を続けるのか。「長所を伸ばす」教育は本当に正しいのかーー。時代の変化や競技人口の減少に伴い、指導者の側も意識改革が求められている野球界。「考える野球」を広めたあの人は、その根本をどう捉えていたのだろうか。今年8月に発売された故・野村克也氏の“門外不出の野球ノート”とも言える著書『野村克也 野球論集成 実技講座』(徳間書店、2023年8月発行)から抜粋して紹介する(全2回の1回目/続きを読む)
先が見えない苦しい練習を、続けるために必要なもの。それは「一」 の重要性、そして「長所を伸ばすには、短所を鍛えろ」というものだ。
「まず1日やってみろ。1日やって、どんな小さなことでも『やって みてよかった』と思えれば、3日続く。3日続けば、1週間続くものだ」
自主的に踏み出す一歩こそ本物の練習
一、と書いて「はじめ」と読むこともある。「一」は万物の始まりである。やらされるのではなく、自発的に、自主的に踏み出す一歩が、本物の練習であって、人を成長させる。
ヤクルトには、自主練習の伝統がある。山田哲人はバリエーション豊富なティー打撃。川端慎吾は山なりのスローボールを1カゴ、2カゴと打つ。こうして毎日試合に臨んで、2人は2015年にタイトルを獲得し、チームを優勝に導いた。かつては真中満、宮本慎也、稲葉篤紀、土橋勝征らが神宮室内練習場で、午前中から試合後まで打っていた。
なぜ反復練習が必要なのか。人間には習慣的要素があって、一度習慣づけてしまえば、体から染みついて離れなくなる。私にも経験がある。