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「手を出してみぃ!」抜き打ちチェックに野村克也がなぜかニンマリ…「反復練習」「長所を伸ばす教育」は本当に正しい? 名将が語っていた野球界の意識改革
text by
野村克也Katsuya Nomura
photograph byTamon Matsuzono
posted2023/09/23 11:02
自身の野球哲学を常に書き留めていた野村克也氏
ほんの小さな変化から始まるので、本人も周囲もなかなか気づきにくい。日頃から丁寧に自己点検を行っていなければならない。打撃でのスランプは、ほとんどの場合、下半身から始まる。ステップが広くなる、膝が開く、前足に体重がかかりすぎる──など。これらが上半身に悪い影響を及ぼし、フォームのバランス、タイミングを狂わせている。
野村流「スランプ対策の6カ条」
私は、スランプと感じたとき、以下の6点を心がけ、実践した。
1.気分転換を図り、自分なりの復元力を養う
2.自己点検して原因究明にあたる
3.頭を空っぽにして、汗を流す。体をとことん疲れさせてみる
4.スランプと未熟の勘違いをしていないか。未熟であれば、基本練習に立ち返ってみる
5.絶対にやけくそにならない。やけくそは努力放棄、ギブアップと 同じで、意味がない
6.開き直る。開き直りとは「やるべきことをやって、それでも駄目 ならしかたない」という落ち着いた心境になること
山﨑は翌日の試合で本塁打を放ち、最後までチームを引っ張った。
プロ野球選手は練習で迷い、試合で悩み、不安は尽きない。私もそうだったから、後進のために、考えられるかぎりのものを残そうとしている。
<つづく>
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