甲子園の風BACK NUMBER
「根尾は直立不動、中田翔はカラオケ大会」吹奏楽部の“カリスマ監督”が明かす大阪桐蔭の歴代選手秘話…「毎回アウェーの雰囲気」という甲子園での“秘策”は?
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/22 11:03
ドラフトで阪神から指名を受けた際、吹奏楽部のメンバーと記念撮影する藤浪晋太郎
根尾は直立不動、中田翔は…
『We Will Rock You』も『You are スラッガー』も、大阪桐蔭では強打者の応援曲として使われており、中田翔、森友哉、藤原恭大(千葉ロッテマリーンズ)など、プロ入りした多くの選手たちが、これらの曲で打席に立ってきた。梅田氏は野球部の生徒も音楽の授業で教えてきたが、特に印象に残っている生徒を聞いてみると、「根尾やね」と即答。現在中日ドラゴンズで活躍する根尾昂は、「優等生そのもの」だったという。
「印象に残っているのはダントツで根尾。もう、まじめ。授業中も直立不動で優等生そのもの。笑顔で受け答えもするし、音楽の授業でも校歌を大きな声でよく歌っていました。中田も教えましたが、『歌いたい曲を言え~!』と、カラオケ大会みたいなことをやっていましたね(笑)。
当時流行っていたJ-POPとかを歌っていて、けっこううまかった記憶があります。藤浪も森も浅村も、みんなまじめ。2018年に春夏連覇した時は、根尾や藤原が、『応援ありがとうございました』とお礼を言いにきてくれたり、みんないい子です。野球部との距離が近いのは、やっぱり同じクラスならではでしょうね」
「低音は一番大事」
『You are スラッガー』では何度も反復する低音のフレーズが印象的だが、梅田氏は楽器編成で特に低音を大切にしており、テューバやユーフォニアムの人数は通常よりも多めにしている。
「それはもう、低音は一番大事です。テューバは毎年各学年4人ずつくらいいて、最低でも3学年で10人はほしい。サウンドを厚くしたいので、ユーフォニアムも多いですね。(高音の)フルートが多い吹奏楽部はけっこうありますし、うちでも希望者は多いですが、低音を充実させることを何よりも大切にしています」
テューバの生徒は、野球応援ではスーザフォンを吹くことが大半だ。「大きくて音が出るベルの部分が朝顔のような形をしている、白い楽器」といえばわかるだろうか。このスーザフォンの人数が多いのは、野球応援にも役立っているという。
「うちはシルバーのスーザフォンを使っていて、ちょっと重たいので女の子は大変やけど、音がいいし、アルプススタンドの上の段に10人以上並ぶと、キラキラ輝いて迫力が出る。低音部が厚いほうが全体的に美しい響きになりますし、スーザがブーンと響いてくれたら心地いいですから」