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巨人・岡本和真が史上初の6試合9本塁打! 量産の秘密は…落合、松井も語っていた“打撃の真髄”「40本クリアで初めてホームランバッター」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/12 17:02
ホームラン争いを独走する31号本塁打を放った巨人・岡本和真。自身初シーズン40本超なるか
去年からの一番の変化は打球方向にある。
岡本といえば右方向に本塁打を打ち出すと、「状態が上がってきた」と言われてきた。本人も本格的にアーチストとして歩み出すきっかけになったのが、1軍に定着した2018年にナゴヤドーム(現バンテリンドーム)で放った右中間への本塁打だったと語っている。そこから常にセンター方向を意識したバッティングで昨年まで5年連続30本塁打を達成。ヤクルト・村上宗隆内野手と並びセ・リーグを代表するスラッガーとして君臨もしてきた。
そうした背景もあって、昨年までの岡本の本塁打の打球方向は中堅から右方向の割合がかなり多かった。昨年で見てみると左方向の本塁打は30本中16本でセンター方向が6本、右方向が8本という内訳だった。しかし今季は31本の本塁打で中堅から右方向の当たりは僅かに4本(中堅3本、右方向が1本)と左方向の打球が激増しているのである。
その変化のヒントとなるコメントが本人から出てきたのが、7月28日の中日戦で22号を放った試合後のことだった。
この試合の1回に岡本は中日先発の涌井秀章投手から右中間席への逆転3ランを放った。外角の135kmのスライダーをしっかり振り切って右方向へ放った打球は、まさに岡本らしさ全開のアーチと言えるものだった。今シーズン初めての右方向への本塁打。試合後の取材では当然、そのことに質問が飛んだ。
「(右方向の本塁打が)出るに越したことはないですし、ヒットになればホームランになればどこに打っても嬉しいです。元々は逆方向に打っていましたが、そこまで僕はそこ(右方向)に打とうとは思っていない。結果的にそこに(打球が)行っていただけなので、変わらず頑張りたいですね」
こう答えた岡本だが、そこでもう1つ、突っ込んで「打球の質」について質問すると、飛び出してきたのが次の言葉だったのである。
「捕まっていましたし、甲子園(球場)でライトフライを打ったとき(7月26日の阪神戦の第2打席)に、ちょっとこう(右方向に打つ)懐かしい感覚があって、それがいい方向にいったのかもわからない。打たせないように攻められるので、どこか(どの方向)に打つというのを決めるというのはないですね。(投手の投げる)球に対してアプローチできるようにやっていきたい」
本塁打量産の秘密と”キーワード”
そしてキーワードが飛び出す。