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巨人・岡本和真が史上初の6試合9本塁打! 量産の秘密は…落合、松井も語っていた“打撃の真髄”「40本クリアで初めてホームランバッター」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/12 17:02
ホームラン争いを独走する31号本塁打を放った巨人・岡本和真。自身初シーズン40本超なるか
「今年に関して言えば、レフトに打っているときも感じが良かったので。今までの打ち方なら右が良かったかもしれないですけど、今年に関してはどちらもいいということで!」
この左方向へ打った打球の感覚の変化が、去年との違いであり、今年の本塁打量産の秘密だということだ。
そこで思い出すことがある。
去年まで岡本がスランプになったとき、投手方向からの映像で背番号が見え過ぎるという指摘があり、そのことはこのコラムでも何度も書いた。
最初にこの話を聞いたのはキャンプの臨時コーチなどで岡本の打撃を見たことのある巨人OBで元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜さんからだった。その後も解説者の元阪神・掛布雅之さんらもたびたび指摘していた岡本の悪い状態のときの姿だ。
「これでもかってくらいに右方向を向いていたよね」
今年のキャンプ前にこう話していたのは、大久保博元打撃チーフコーチだ。
「去年の和真は右足を引いて思いっきり右を向いて、しかもつま先が開き過ぎて軸足が(パワーを受け止められずに)開放されてしまっていた。だからグリップも自然と内側に引いてしまっていたんですよ」
だから構えた時点で背番号が見えている上に、テークバックで更に背番号が投手側を向いてしまっていた。そうすると右方向には肩を開かずにしっかり捕まえた打球が打てるが、左方向に強い打球を打とうとすると自然と身体を開いていかなければならなくなる。そうなるとよほどタイミングが合わない限り、なかなかきっちりと捕まえた強い打球は生まれにくくなってしまう。
「40本をクリアして初めてホームランバッター」
「インパクトで体が開くバッターは、開かないようにクローズに構えるけど、それは逆。最初から開いておけばもうそれ以上、開かない。あとは踏み込むだけだろ」
現役時代の元中日監督・落合博満さんから聞いた打撃の核心がそこにある。