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「Jリーグっぽいサッカーをしている」堂安律24歳はなぜ日本代表に“ダメ出し”をしたのか?「危機感もありますから、厳しい意見を言わなきゃいけない」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2023/04/01 11:03
2試合を終え、代表のサッカーについて厳しい意見を並べた堂安。その“ダメ出し”を読み解くと…
「日本代表なので負けちゃいけないですけど、この2試合での収穫はたくさんありました。前半の薫君のゴールは、素晴らしかった。1本のクロスで競り勝てば簡単にゴールが入る。でも、前半を見ていると薫君と純也君の個の能力を活かしきれていないし、もっとシンプルにゴール前に行けるんじゃないかなと。(新しいことを)やろうとして、意識し過ぎて結局、前に行けず、シュートを打てない。サッカーは点取るスポーツなので、それじゃダメです」
堂安のいう通り、サッカーはボールを回すスポーツではなく、保持するスポーツでもない。ゴールを奪うことが重要なのだが、コロンビア戦では練習したことをやろうとして、リスクを冒さず、ボールを大事にし過ぎて、保持に頭が行っていた。早く攻めればチャンスになるのにと思うシーンでも、前線の伊東らを活かさず、うしろでちょろちょろ回していては取れるものも取れない。
素早く攻守が入れ替わり、シンプルにゴールに向かう
「Jリーグを批判しているわけじゃないですけど、Jリーグっぽいサッカーをしている感じが僕にはあります。もっと欧州の縦に速く、もっとゴールに向かっていくサッカーで、歓声が常に響いて、素早く攻守が入れ替わり、シンプルにゴールに向かうのが大事かなと思います」
堂安のいるフライブルグは、鎌田大地のフランクフルトもそうだが、ポゼッションのサッカーではなく、スピーディーな縦への攻撃を展開している。クラブと代表は異なるものだが、ゴールを狙うところは同じ。遅攻はあくまでも手段のひとつであり、そこに縛られる必要はないが日本人は真面目なので、どうしても決められたものを追ってしまう。ベースを作るのが大事で、いざ得点を取る場合には、カタールW杯での攻撃パターンを発動すべきだが、「新戦術」に縛られている感があった。
そういうもどかしさを堂安や鎌田らは抱えていたようだ。
シュート打ってないんで、ゼロ本なんで……
堂安は、個人としては2試合つづけてシュートゼロに終わり、得点を挙げることができなかった。
「シュート打ってないんで、ゼロ本なんで……。自分がピッチに立つ意味はそこにありますし、もっと責任感を持ってやらないといけない」