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「Jリーグっぽいサッカーをしている」堂安律24歳はなぜ日本代表に“ダメ出し”をしたのか?「危機感もありますから、厳しい意見を言わなきゃいけない」
posted2023/04/01 11:03
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Takuya Nakachi/JMPA
浮かない表情で堂安律はミックスゾーンに現れた。
無理もない。コロンビア戦、三笘薫の先制ゴールで日本は主導権を握り、新戦力や新たな戦術面でのトライをしようとしたが、後半にひっくり返された。その後はそれまで試したことがないシステムにピッチ内の選手が混乱するなど、バタバタした状態で試合が終わってしまったのだ。
いくら新戦力とか新戦術を試すとかいってもダメ
「不甲斐ないですね。いろいろトライしているんですけど、W杯が終わって、みんな期待してくれる中、ひとつも勝てないのは、いくら新戦力とか新戦術を試すとかいってもダメです」
堂安の言葉通り、今回の南米2連戦は、目的があった。
カタールW杯では、ドイツ、スペインを撃破し、決勝トーナメントでクロアチアにはPK戦でこそ敗れベスト8には届かなかったが、堅守速攻が完璧にハマり、日本はベスト16という結果を残した。
ただ、その戦術だけでは勝てない――ということは、コスタリカ戦でボールを握れる中、攻め手を欠き、敗れた経験から森保一監督も選手も理解していた。W杯以降、ビルドアップを含めた攻撃の組み立て、簡単に言えば遅攻の構築が大きなテーマになり、今回はそのスタートになった。
南米シリーズの1戦目、ウルグアイ戦はビルドアップでは「偽SB」として、左右のサイドバックが内へ入り、中盤を厚くして、サイドへの展開、前線への縦パスを狙っていた。だが、ウルグアイに対応され、サイドが下がった状態でのパスが増え、三笘薫、伊東純也という左右の武器をうまく使えなかった。
もっと縦パスを入れるべきだと思いました
コロンビア戦は、前半はそれほど圧をかけてこなかったので、中盤で保持する余裕があり、サイドから繋がり、ゴールも生まれた。だが、後半になるにつれ、相手のプレー強度が増し、圧を受けるとビルドアップはリスクを回避してか、安パイなパスが目立ち、低い位置での展開を余儀なくされた。選手が入れ替わったせいか、連係面でギクシャクし、スムーズな攻撃を構築できなかった。