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「日本に力の差をつけられている」サッカーでも野球でも…韓国が抱く日韓の指導者格差の危機感 韓国はなぜ外国人監督に頼らざるを得ないのか?
posted2023/03/31 17:40
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
L) Kiichi Matsumoto/JMPA R) AFLO
「難しい質問ですね~」
そう言って、森保一は笑った。
3月24日に国立競技場で行われたカタールW杯後の初陣、ウルグアイ戦後の会見。記者団から「WBCでの栗山(英樹)監督の選手を信じる姿勢を見て、感じたところは?」という少々アクロバティックな質問が飛び出した後のことだ。
ああ、こなれているな。
そう感じた。2018年にA代表監督に就任してから5年。64戦をこなしているから、その数だけ試合後の会見にも臨んだことになる。
いっぽう、韓国では3月9日にユルゲン・クリンスマン新監督が就任会見に臨んだ。カタールW杯後、2カ月に及んだ「新監督選定劇」では憶測を含めじつに国内外の12人の名前が飛び出した。その末の最初の会見の後半では、ドイツ人新監督に対してこんな質問が飛び出した。
――パウロ・ベント監督の体制をベースに、より攻撃的に行くのか。それとも新しい方法を探すのか。
あら、それを就任後のいま聞く? そんなことも思った。
なぜなら「ベント体制」とは韓国サッカー界が2010年以来の努力の結晶として取り組んだ「ポゼッションサッカーへの転換」だったからだ。それを継ぐか、継がないのか。そんなことは監督人選以前に、協会がビジョンを定めそれに沿った人物を据えるべき話なのだ。
ちなみにクリンスマンの答えは「選手と対話をして以前のスタイルを続けることが重要」だった。
「日本に力の差をつけられている」という韓国の危機感
こんなふうに韓国は2014年大会以降、3大会連続でかなり慌てて代表監督を選定している。いっぽうの日本にはじっくりとした土壌がある。
これ、何の話かというと韓国で最近、燃焼している「スポーツで日本に力の差をつけられている」という危機論に繋がるものだ。要は国内の指導者の層にも差がつきはじめている。
それは先日のWBCでの日本優勝、韓国3大会連続1次ラウンド敗退の話とも繋がるところだ。
森保一監督がウルグアイ戦の会見で余裕をかます。4日後のコロンビア戦で試合中に選手にメモを渡し、スポーツ紙にオモロエピソードとして書かれる。
なぜ彼が、そこにいるのか。