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「ちゃんとした言葉は覚えてないんですけど…」渡辺勇大(27歳)が今明かす、“わたがしペア”が解散を決めた日…最後の試合で見た“ある光景”
posted2025/05/13 11:00

渡辺勇大が明かす、五十嵐有紗との“わたがしペア”解散までにあった思いとは――
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Shiro Miyake
東京五輪のバドミントン・ミックスダブルスにおいて、同種目では日本史上初の表彰台となる銅メダルを獲得。世界選手権でもミックスダブルスで日本史上初めて表彰台に上がる銅メダルを獲得し、全英オープンではやはり日本初の優勝を成し遂げた。渡辺勇大は五十嵐有紗(旧姓東野)とともに、いくつもの「史上初」を刻み、新たな歴史を築くとともに、日本のミックスダブルスの地位を押し上げた。
今、渡辺は、東野とのペアを解消し、田口真彩とともに歩んでいる。東野とのペアを解消した理由、田口と組んだ経緯、そして渡辺ほどの地位にあっても競技を続けるのは実は容易ではないという競技環境について、渡辺の思いを尋ねた。
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「お互いになんとなく感じていた」
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ペアを組んで13年。渡辺勇大は、中学校の1つ先輩であった東野有紗とともにミックスダブルスで輝かしい実績を残してきた。
2人がその活動に終止符を打ったのは2024年夏のこと。東京五輪に続き、パリ五輪でも銅メダルを手にしたあと、8月20日開幕のジャパンオープンが最後の大会となった。
ペアを解消する話を東野としたのは、パリ五輪の前だった。
「実際に2人で話したのは5月。ただ、お互いになんとなく、パリが集大成になるのかな、というのは感じていたところだったと思います」
渡辺自身はパリを集大成として考えるようになった理由をこう語る。
「長くやってきて、自分たちのミックスダブルスが完成しつつあって、その後の4年を考えたとき、伸びしろというものに多少限界があったのかなと僕自身は思っていました。成長はないわけではないですけど、パリオリンピックを最後のターゲットにすることで、最後のもうひと絞り、もうひと成長ができるかなという気持ちでいたのはたしかですね」