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MMAサイトでは「フェザー級91位」…朝倉未来30歳のリアルな評価とは? メイウェザーとの一戦は猪木vs.アリ級の“格差マッチ”か 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2022/09/24 17:01

MMAサイトでは「フェザー級91位」…朝倉未来30歳のリアルな評価とは? メイウェザーとの一戦は猪木vs.アリ級の“格差マッチ”か<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

9月25日の『超RIZIN』でフロイド・メイウェザー・ジュニアと対戦する朝倉未来。日本における知名度に比べて、海外での評価は高いとは言い難い

 ごもっとも。フリーウェイト(無差別級)という一点だけを見ても、この一戦がある種の真剣味や勝負論を欠いたエキシビションであることは明らかだ。だったらルールの詳細など無視すればいいだけの話ながら、仮にこのマッチメークに否定的な立場でも、メイウェザーvs.朝倉が気にならないといったら嘘になるだろう。猛毒も混入されている一方で、気になって仕方のないカードでもあるのだ。

 もっというと、日本の格闘技はエキシビションマッチが作ってきたという意外な歴史がある。例えば1976年6月26日に行なわれたアントニオ猪木とモハメド・アリの異種格闘技戦。開催された当時は「世紀の大凡戦」と酷評されたが、MMAが根付いた現在はそのルーツとして好意的な評価を受けつつある。

 猪木側からすれば天下分け目の大一番だったわけだが、プロボクサーであるアリの公式レコードからすると、この一戦は純然たるエキシビションマッチだった。ボクシングは各コミッションが認可したボクシングルールでの対戦しか公式戦として認めない。

 一方で遡れば、日本におけるボクシングは柔道家や相撲取りによって始まったことをご存じか。19世紀の開国後、日本には当然ながらボクサーがいなかったため、欧米のボクサーが来日したとしても、異種格闘技戦で闘うしかなかったのだ。明治末期に産声をあげた柔拳(柔道家vs.ボクサーなどの試合を組んだ興行)は異種格闘技戦のルーツとして語られることが多いが、そうでなければ黎明期を乗り切ることはできなかった、という側面もあったわけだ。

アリと絡んで名を上げた猪木のようになれるのか

 正直なところ、朝倉がメイウェザーを倒す可能性は極めて低いといわざるをえない。とはいえ、勝負の世界に絶対はない。猪木がアリと闘うことが決まったときも、米国における猪木の知名度は「東洋のプロレスラー」にすぎなかったという話も聞く。試合内容は酷評され、巨額の借金を背負ったが、アリと絡むことで猪木は世界的な知名度を飛躍的に高めることに成功したのだ。

 朝倉もメイウェザーを一度でも本気にさせることができたら、海外での評価は否が応でも高騰することになるだろう。万が一メイウェザーを追い込むような場面を作れたら、アメリカのメジャープロモーションから声がかかるかもしれない。朝倉は『BreakingDown』を「中国に輸出したい」という野望を抱く。ならば、海外に出る布石としてメイウェザーを相手に爪痕を残すことが必要不可欠だ。

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