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「正直、怖かった」朝倉未来の“狂気”をレンズ越しに見たカメラマンの証言…「ほぼ勝ち目なし」のメイウェザー戦に、それでも期待する理由

posted2022/09/23 17:03

 
「正直、怖かった」朝倉未来の“狂気”をレンズ越しに見たカメラマンの証言…「ほぼ勝ち目なし」のメイウェザー戦に、それでも期待する理由<Number Web> photograph by ©RIZIN FF Susumu Nagao

カメラに向かってピストルを模したポーズをとる朝倉未来。この瞬間、撮影していた長尾迪氏は「ヤバい空気」を感じたという

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長尾迪

長尾迪Susumu Nagao

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©RIZIN FF Susumu Nagao

 ご存知の通り朝倉未来は、那須川天心と並んで日本で最も有名な格闘家のひとりである。

 彼が他の選手たちと違うのは、幅広い分野での活躍と成功だ。YouTuberとして273万人の登録者(9月23日現在)を持ち、アパレルブランドのオーナーであり、『BreakingDown』などのイベントプロデュースも行う。30歳にしておよそ15の会社を経営し、その年商は約30億円と明かすなど、“やり手の若手実業家”でもあるのだ。

“路上の伝説”RIZIN初参戦時の印象は…

 そんな朝倉だが、若いときにはストリートファイトに明け暮れ、地元の豊橋ではヤンキーや暴走族からも一目置かれるほどの不良だった。16歳から18歳までの1年4カ月を少年院で過ごした後、不良系のファイターが集う格闘技イベントの存在を知る。総合格闘技色の強い空手団体・禅道会の豊橋支部へ入門し、格闘技は喧嘩と違って、寝技が重要であることに気が付いた。競技としてのMMAを学び、アマチュアではあったがリングデビューを果たす。天性の運動神経の高さ、幼い頃から学んだ空手と相撲に加え、路上で磨いた実戦力で、朝倉はあっという間にスターダムを駆け上がった。前田日明がプロデュースする『THE OUTSIDER』ではベルトも巻き、プロ格闘家として活動するようになった。

 2018年8月には、日本最大の格闘技団体であるRIZINでメジャーデビューした。対戦相手の日沖発は修斗の元世界王者で、UFCでの試合経験も豊富。私はデビュー当時から彼の試合を撮影しているので、その強さをよく知っている。一方の朝倉は、あくまでもセミプロが集まった団体の王者。同じチャンピオンでもこの2人では、格が違いすぎると思っていたのだが……。

 朝倉の試合は『RIZIN.12』の第7試合だった。真夏の名古屋は蒸し暑い。会場の愛知県体育館は冷房の利きが悪く、じっとしているだけで、汗が出てきたことを覚えている。両者ともにリラックスした様子でリングイン。序盤から一進一退の攻防が続く中、日沖が戦いにくそうな表情を見せる。相手との間合いが合わず、どうやら自分の距離で試合ができないようだ。局面打開のため、強引なそり投げを仕掛けるも上から潰される。徐々に朝倉のパンチがクリーンヒットし始め、日沖がロープを背にするようになる。そして日沖が得意のタックルに入ろうとした瞬間、朝倉の左ハイキックが炸裂。ドスンという衝撃音とともにマットが波打ち、日沖は倒れた。

【次ページ】 試合運びに見る朝倉未来の“強さ”の本質

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