格闘技PRESSBACK NUMBER
MMAサイトでは「フェザー級91位」…朝倉未来30歳のリアルな評価とは? メイウェザーとの一戦は猪木vs.アリ級の“格差マッチ”か
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2022/09/24 17:01
9月25日の『超RIZIN』でフロイド・メイウェザー・ジュニアと対戦する朝倉未来。日本における知名度に比べて、海外での評価は高いとは言い難い
プロボクシングで50戦全勝という完璧なレコードを持つメイウェザーの世界的な知名度は文句なしに高い。では、朝倉のそれはどうか。世界中の選手の実力を階級別に査定してランキングを発表している『FIGHT MATRIX』で、朝倉はフェザー級の91位に名を連ねていた(2022年9月23日現在)。メイウェザーは朝倉をUFCファイターと勘違いしているふしもあるが、世界のランキングでは同階級内でギリギリ100位以内に入っているという立ち位置だ。
ちなみにフェザー級の1位はUFC同級王者でP4Pランキング1位のアレキサンダー・ボルカノフスキー。RIZINファイターをリサーチすると、クレベル・コイケが62位、牛久絢太郎が84位につけている。シビアな見方をすれば、朝倉を取り巻く熱は国内限定として見るべきだろう。円安が進む経済同様、日本格闘技の立ち位置は想像以上に厳しい。
「強いだけじゃダメなんだよ 面白くなくちゃ」
では、対メイウェザーのマッチメークの波及効果も国内だけに限られるのか。いや、海外サイトのランキングだけで判断するのは早計だろう。奇しくも先日、朝倉と一緒にMMAの練習をする機会もあるYA-MANはツイッターで「強いだけじゃダメなんだよ 面白くなくちゃ」と呟いた。
いったい何を指してこのようなツイートをしたのかは不明ながら、この発言の意味は深い。ファイターは強さをアピールすることが必要不可欠ながら、同時にプロとして一般大衆に注目される存在にならなければ意味はないということだ。
貪欲に強さを追求するとともに、世間からどう見られるかを研究するYA-MANの思考は、朝倉のそれとも重なり合う部分がある。
筆者は「面白さ」が強さと同等、あるいはそれ以上に重視されると「格闘技が格闘技でなくなるのではないか」という危惧を抱く。そのサジ加減はひじょうに難しいが、最近は以前にも増して「面白さ」が強く支持されており、もはや否定できない流れになりつつある。
エキシビションが紡いできた格闘技の歴史
9月21日に渋谷で行なわれたメイウェザーvs.朝倉の公開記者会見では、いまだルールの詳細がまとまっていないことが明らかになった。「もともと、この一戦はエキシビション。ルールを議論することはナンセンス」という厳しい意見も耳に届く。