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王座奪還を目指す駒澤大も「満足いく練習ができていなかった」…“ライバル”青学大との差が縮まらない理由〈箱根駅伝まであと半年〉
posted2022/05/30 11:02
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Sunenaga
駒大)もうひとつ突き抜けられない結果に
駒澤大は、もうひとつ突き抜けられないまま関東インカレが終わってしまった感じだ。
大会前10000mの日本選手権、オレゴンの世界選手権への出場権をかけて田澤廉(4年)が出走し、3位内で内定だったが、まさかの10位に終わっていた。
その衝撃が広がる中、初日の10000mに篠原倖太朗(2年)、小野恵崇(4年)、7区10位白鳥哲汰(3年)が出場した。篠原は4月の学生個人選手権5000mで13分47秒90の自己ベスト更新で優勝し、いい流れで10000mに臨んだが、今回は8位入賞に終わった。ただ、28分41秒13は自己ベストで、今季は5000m、10000mともにPBを出している。タイムはさらに伸びていきそうだ。「前回、箱根を走れない悔しさを味わったので、来年は箱根はもちろん、往路で走りたい」と篠原は言うが、実現すれば駒大にとって往路はより厚みのあるオーダーが可能になる。小野は14位でまずまずの結果だが、少し心配なのは白鳥だ。28分14秒86の持ちタイムがあったが、今回は30分25秒90で29位。箱根7区10位から今回と本来の力を発揮できなかったが、いつこの流れを断ち切れるか。
5000mは3区16位の安原太陽(3年)が決勝に進出し、14分07秒73で11位。昨年全日本大学駅伝で6区2位と快走して優勝に貢献したが、箱根は3区16位と力を発揮できずに今回も内容的にはもう一つに終わった。
ハーフでは4区9位の花尾恭輔(3年)が西久保(青学大・4年)との競り合いに勝ち、62分56秒で2位。昨年は西久保と同着で2位、今年も2位という結果に「よくも悪くもない」とレース後は苦笑していたが、安定した強さを見せた。持ちタイム(60分40秒)でトップで9区4位の主将・山野力(4年)は沿道で田澤の応援を受けて懸命な走りを見せたが、4位。「駒大は1日目から3日目まで微妙な感じで終わっていたので、なんとか勢いをつけたかったのですが」とメダルにあと一歩届かなかったことへの悔しさを見せた。円健介(4年)は12位で、ハーフ組全体としてはまずまずの結果と言えるだろう。
「チーム的に満足いく練習ができていなかった」
関東インカレの結果を見る限り、ライバル校である青学大との差は、開きつつある。トップの青学大は53点、駒大は13点で4位だった。この40点差は11分もの差をつけられて3位に終わった箱根からそれほど差が縮まっていない証左でもある。
山野は厳しい表情で、こう語る。
「3、4月上旬までチーム的に満足いく練習ができていなかったですし、記録会もレースにも出れていなかった。関東インカレに選ばれたメンバーで練習ができていたのはわずか。ただ、故障から選手が徐々に戻ってきているので、夏が終わってまた故障者が出なければ、いい感じで駅伝シーズンに入れると思っています」
山野はこれからの巻き返しを心配していないが、現時点での最大の懸念は、やはりチームの主軸を担う3年生の調子だ。