箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
王座奪還を目指す駒澤大も「満足いく練習ができていなかった」…“ライバル”青学大との差が縮まらない理由〈箱根駅伝まであと半年〉
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Sunenaga
posted2022/05/30 11:02
箱根駅伝を目指す大学にとって春の重要なレースは関東インカレ。やや苦戦を強いられている大学はどこか?(写真は駒大・花尾)
東海大)選手が吐露するチーム状況「危機感しかありません」
東海大は、19年の大会で黄金世代を擁して箱根駅伝で初優勝を果たしたが、それからわずか3年でシード権を失った。昨年は、それまでの「スピードの東海」からロング強化へとシフトしたが結果が出ず、今年は「原点回帰」でチームの立て直しを計っている。前期の目標を関東インカレと全日本大学駅伝の地区予選会に置き、調整してきた。だが、関東インカレは、厳しい結果に終わった。1500mでは飯澤千翔(4年)が圧倒的な強さを見せて優勝、チームに勢いをもたらしたが、その後が続かなかった。
10000mでは、ルーキーイヤーに7区3位と好走し、その後は故障に苦しみながら昨年戻ってきた松崎咲人(4年)が16位、喜早駿介(3年)は19位、28分21秒90のタイムを持つ松尾昂来(3年)は23位に終わった。5000mでは、溝口仁(3年)、鈴木天智(1年)が予選敗退となり、決勝に進めなかった。ハーフマラソンでは、エース格の竹村拓真(4年)が意地の走りで4位、入田優希(3年)が9位、駅伝主将の宇留田竜希(4年)は23位という成績だった。
宇留田は「今年はワンチームというスローガンで、どれだけ本気で関東インカレや全日本の地区予選会に向けて全員がひとつになっていけるのかが大きなテーマでした。でも、関東インカレは、このままじゃ地区予選会も危ないんじゃないかと思われてしまうような結果に終わってしまい、危機感しかありません。チームのまとまりはもちろん、練習も普段の生活から本当に勝てるチームに近づいているのかというところを見直していかないといけないと思っています」と厳しい表情で、そう語った。
まずは全日本の地区予選会で「復活した東海」を見せられるか?
エースの石原翔太郎(3年)が故障から復帰して走り出しており、5区2位の吉田響(2年)、7区3位の越陽汰(2年)は今年も箱根でも好走が期待できるだろう。ただ、東海大も4年生が力を発揮して勝ってきたチーム。19年優勝時も2区8位の湯澤舜(SGH)、9区2位の湊谷春紀(NTT西日本)の走りがあってこその初栄冠だった。その意味では竹村を軸に松崎、川上勇士(4年)、佐藤俊輔(4年)ら4年生がチームを引っ張り、盛り上げていくことが不可欠になる。次の全日本大学駅伝の地区予選会では東洋大らを相手にトップ通過を果たし、「復活した東海」を見せられるだろうか。
関東インカレを終え、今後、各チームは合宿などを経て、強化を計り、選手は各記録会、ホクレンなどのレースに参戦し、自己ベスト更新など個々のレベルを高めていくことになる。調子が上がらず、結果が出ない選手は不安だろうが、ここからいかに盛り返していくか。チームは、関東インカレという中間考査の結果を今後どう活かすのか。秋に実りのシーズンが迎えられるかどうかは、これからの巻き返し次第だ。
<#1、#2から続く>