箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
王座奪還を目指す駒澤大も「満足いく練習ができていなかった」…“ライバル”青学大との差が縮まらない理由〈箱根駅伝まであと半年〉
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Sunenaga
posted2022/05/30 11:02
箱根駅伝を目指す大学にとって春の重要なレースは関東インカレ。やや苦戦を強いられている大学はどこか?(写真は駒大・花尾)
白鳥、安原はもうひとつで、本来いるべき1区2位の唐澤拓海、8区18位の鈴木芽吹もまだ本調子には程遠い。箱根10区6位の青柿響、出雲5区10位の赤津勇進、全日本4区4位の赤星雄斗も関東インカレに絡めず、花尾ひとりだけという状況はさすがに大八木弘明監督も想定外だろう。また、全日本1区区間賞の佐藤条二(2年)も箱根は故障で走れず、2年生で順調なのは篠原だけという状況だ。スーパールーキーの佐藤圭汰(1年)が入ったとはいえ、駒大の伝統は上級生の強さだ。ゲームチェンジャーの田澤を擁してもメンバーが揃わなければ、青学大を倒すのは難しい。
「チームとしては青学大がライバル校なので負けたくはないですし、監督にもそう言われています」
山野は、青学大へのライバル心を隠さないが、現状ではその尻尾が見えない状況だ。夏合宿を経て、3年生の主力が故障なく、調子を取り戻して駅伝シーズンに臨めるか。エンジンがかからぬままだと、青学大の独走を許すことになりかねない。
早稲田大)名門復活にはやや物足りない結果に
前回の箱根駅伝でシード権を失ったチームは、関東インカレではどうだったのか。
早稲田大は、前回の箱根駅伝で中谷雄飛(SGH)、太田直希(ヤクルト)、千明龍之佑(GMO)、山口賢助(トヨタ自動車九州)らを擁しながら13位と惨敗し、彼らが卒業した今シーズンは大幅な戦力ダウンが危惧されていた。関東インカレでは、そういう見方を一蹴するチャンスだったが、結果という点ではやはり物足りなさが残った。
昨年の出雲1区2位、全日本4区5位と好走した菖蒲敦司(3年)が1500mで3位、3000mSCでは2年連続の優勝を果たした。10000mでは27分59秒74のタイムを持つ井川龍人(4年)が伊豫田達弥(順大・4年)のスパートに対応できずに遅れたが、それでも2位に入り、好調をアピールした。5000mでは昨年ルーキーながらともに三大駅伝を駆け、箱根では5区11位の伊藤大志(2年)と4区6位の石塚陽士(2年)の走りに期待が膨らんだ。だが、石塚はラストで踏ん張りきれずに12位、伊藤は16位、ルーキーで出場した山口智規(1年)は20位に終わった。ハーフマラソンでは、安田博登(4年)が15位、菅野雄太(2年)が19位、前回7区5位の結果を残して今季、主将になった鈴木創士(4年)は期待されたが左足の痛みのために途中棄権になった。
選手層をどう厚くしていくかが大きなテーマだが……
昨季は27分台の選手を3人擁し、速い早稲田を印象づけたが駅伝の結果を見ると強さが足りなかった。今季はその強さを求め、かつ薄い選手層をどう厚くしていくかが大きなテーマだが、現状ではまだそれほど進んでいない。また、他大学が次々と新監督での体制を発表して動き出している中、選手の指導するところでも相楽豊監督が続投するのか否かが決まらない、早稲田の動きの遅さも気になる。