- #1
- #2
オリンピックPRESSBACK NUMBER
スノボ採点時間「45秒」は誰のため? 平野歩夢がショーン・ホワイトに負けた平昌…“リプレー映像”を見た審判員は「点を入れ替えたいと」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byYumiko Yanai
posted2022/05/01 17:04
平昌、北京五輪のスノーボード男子ハーフパイプでジャッジを担当した橋本涼氏が語る“スノボ採点の改善点”とは
“平昌の激闘”の裏で…「ショーンとアユムの点を入れ替えたい」
4年前の男子ハーフパイプ決勝。3本の滑走の2本目で、平野は五輪史上初めて1440を連続で決めたほか、ルーティンの全体を高い完成度で滑りきって95.25点を出し、暫定首位に立った。その後、3本目の最終滑走でホワイトも1440の連続トリックを自身初成功させて97.75点と平野を逆転。ホワイトは3度目の金メダルを手にした。
ところが、ホワイトの高得点に疑問の声が噴出した。総合的に見れば平野の2本目の方が上ではないかということだ。
今回のインタビューでは、平昌五輪でもジャッジを務めていた橋本氏に当時の採点状況を紐解いてもらった。まず、平野とホワイトのルーティンを並べるとこのようになる。
ADVERTISEMENT
平野歩夢
1:バックサイドエアー
2:フロントサイド・ダブルコーク1440
3:キャブ・ダブルコーク1440
4:フロントサイド・ダブルコーク1260
5:バックサイド・ダブルコーク1260
ショーン・ホワイト
1:フロントサイド・ダブルコーク1440
2:キャブ・ダブルコーク1440
3:フロントサイド540
4:ダブルマックツイスト1260
5:フロントサイド・ダブルコーク1260
2選手のルーティンを比較すると、まず平野の1つ目のバックサイドエアーと、ホワイトの3つ目のフロントサイド540は難度も含めて相殺。ホワイトはルーティンの中間で、体勢を立て直すために回転数の少ないトリックを挟んでいた。
残り4つのトリックは難度が互角だった。そこで次に比較されたのは完成度やバラエティの部分だった。橋本氏は、完成度では平野が勝っていると評価し、バラエティーという観点で言えばホワイトが上だと評価した。平野はグラブがすべてトゥ(つま先)サイドだったのに対し、ホワイトはトゥサイドとヒール(かかと)サイドの両方のグラブが入っていた。橋本氏は総合的に僅差でホワイトを上にし、採点を送信した。