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「ミナミノはFWの6番手」日本人に詳しい英国記者が指摘する南野拓実の“リバプールで有能な控え”問題《同じ立場で代表から外れた選手も…》
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byAFP/AFLO
posted2022/03/08 06:00
FA杯、リーグ杯とカップ戦では結果を残している南野拓実。リバプールでの現状は“有能な控え”としての役割である
出番減に苦しんだのは、昨夏までリバプールに在籍したスイス代表のジェルダン・シャキリも一緒だ。スイス代表ではエースだが、リバプールでベンチを温め続けることに嫌気が差し、最終的には退団の道を選んだ。
ビッグクラブの控えメンバーは、限られた出番の中でいかに成長していくが大事なポイントになる。そして、代表監督の悩みは、彼らのような境遇に置かれた選手を、W杯や欧州選手権の大舞台で起用すべきか、否か。中心選手のコンディションが上がってこない状況になれば、なおさらだ」
キャリアの歩みを決めるのは選手自身
ノースクロフト記者は「所属クラブでどのようなキャリアを歩んでいくかを決めるのは選手自身」とし、3つ目の「選手本人の考え」の視点で言葉をつないだ。
「スカッドメンバーとして出場機会が限定的であっても、ビッグクラブでタイトル獲得に貢献できれば有意義だろう。控えからレギュラーを黙々と目指し、その座を掴むことができれば──ミナミノの狙いはここだろう──感慨もひとしおのはずだ。
あるいは、国内リーグのタイトルには手が届かない中堅クラブであっても、フル稼働できれば選手の充実度は高い。後者なら、4年に一度のW杯も万全のコンディションで臨める可能性は高まる。あくまでも、どちらの道を選ぶかは選手自身が決めることだ」
もちろん、移籍や残留は選手1人で決められるものではない。英メディアによると、冬の移籍市場でリーズとモナコが南野への獲得オファーを提示していたという。しかしリバプールが725万ポンド(約11億円)で獲得した南野の移籍金を約3倍の2000万ポンド(約30億円)に設定しているとされ、リーズやモナコとの交渉が進まなかったという。
そのリーズでは2月にマルセロ・ビエルサ監督の解任が決まり、新たにジェシー・マーシュ監督の就任が決まった。48歳の米国人監督は21年までオーストリア1部ザルツブルクを率いていただけに、教え子の南野の補強にもう一度動く可能性はある。その際、リバプールと南野はどう動くか。
4つの大会でタイトルをかけて争うリバプールと、3月下旬にW杯最終予選を控える日本代表。その先の11月にはカタールW杯が待っている。
ノースクロフト記者は「どの道を選ぶべきか。夏のオフが、もう一度よく考えるタイミングなのでは」と語って、自身の見解を締めくくった。
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