欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「ミナミノはFWの6番手」日本人に詳しい英国記者が指摘する南野拓実の“リバプールで有能な控え”問題《同じ立場で代表から外れた選手も…》
posted2022/03/08 06:00
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
AFP/AFLO
「タクミ・ミナミノの状況は、“リバプール”、“日本代表”、“選手本人の考え”という3つの視点から考えるべきだ」
そう語るのは、英紙サンデー・タイムズのジョナサン・ノースクロフト記者である。サッカー部門の主筆を務める同記者は、以前にもレスター在籍時代に岡崎慎司の単独インタビューを行うなど、プレミアリーグで活躍する日本人選手の動向に関心を寄せている。
彼はリバプール初のアジア人選手である南野拓実について、「2ゴールを決め、2ー1の勝利に導いたノリッジ戦の活躍は素晴らしかった」と、3月2日に行われたFA杯5回戦のプレーを称賛した。また、試合終了間際に劇的な同点ゴールを決めたリーグ杯レスター戦(準々決勝)を皮切りに、出場5試合で4ゴールを決めた南野の活躍がなければ、リーグ杯優勝もなかったと評価した。
その一方で、「それでも、ミナミノのリバプールでの立ち位置は変わらないと思う。彼は(控え選手を入れた)約22~23名で構成されるスカッドメンバーだ」と厳しい意見も述べた。
前線の3トップにはモハメド・サラーとサディオ・マネ、ディオゴ・ジョタ、ロベルト・フィルミーノと世界最高峰の名手が揃い、さらに1月の移籍市場でコロンビア代表FWルイス・ディアスが加わった。「現時点で、ミナミノはFWの6番手。インサイドMFでも同じくらいの序列だろう」とし、主にカップ戦でチームを支えるバックアップメンバーの位置付けは今後も続いていくと予想した。
南野の立ち位置は「質が高くて心強い控え選手」
ノースクロフト記者は、1つ目の「リバプールの視点」でさらに話を進める。
彼の見解では「ビッグクラブにはミナミノのような選手が不可欠」という。
国内リーグ、チャンピオンズリーグ、FAカップ、リーグ杯と4大会でタイトルを争うリバプールのような強豪クラブでは、ベンチメンバーを含めたチーム全体の力が重要になる。「同じメンバーで全ての試合を戦い抜くのは不可能。だから、質の高い選手が控えにいれば、監督としては心強い」と続け、近年の欧州サッカー界では、スカッドメンバーを含めた総合力がタイトルの成否を分けると説明した。
南野の今季出場歴を振り返ると、出番はカップ戦に集中している。国内リーグ戦では先発出場が一度もなく、途中交代での出場が10試合。出番のないまま試合終了のホイッスルを聞いたのが13試合に達したように、プレミアリーグでは出番が極めて限られている。