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エース高木美帆、初陣6位のウラに「氷に対して迷った部分があるかも」…本命1500mでメダル獲得のカギは?《高木&佐藤が語った“氷の変化”》
posted2022/02/06 11:03
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
迷いが滑りに出てしまった。
北京五輪のスピードスケート女子3000m。日本選手団の主将であり、スピードスケート勢のエースである高木美帆(日本体育大職員)は、4分1秒77で6位だった。
200m通過後に「乗り切れなかった」
前回大会の平昌五輪では5位。今回は「メダル圏内を意識して攻める」と意気込んで臨んだが、3位の選手とは約1秒半差、イレーネ・ショウテン(オランダ)の優勝タイム3分56秒93とは4秒84の大差。トータル5種目に出場予定の北京五輪初陣で表情を曇らせた。
「200メートル通過後の1周で、もっと速いラップタイム、スピードで入ろうと思っていたが、そこで乗り切れなかった。3000mをここ数年やっている中で、一番、できなかった部分だなと思っている」
悔しさを押し殺すように、淡々と振り返った。
出番は早く、全10組中の第3組で平昌五輪金メダリストのカルレイン・アフテレークテ(オランダ)と滑った。同走には勝ち、前半の5組終了時にはトップ。だが、製氷を挟んで後半に出てくる実力者たちに高木のタイムは指標とされた。特に第8組以降は200メートル通過後から速いラップタイムを刻む選手たちが続出し、次々と抜かれた。
高木は、「全体的な評価をする上で難しいところはある。気持ちの部分で、ひるんだと感じていたところはないけど、どこかにそういうものがひそんでいたのかどうかは、今ちょっと分からない。全体的に“こうでした”と表現するのが難しいというのが現状」と言葉を絞り出すように言った。取材エリアの質問者の目をしっかり見ながら、真摯に答えを考えている様子がうかがえたが、この時点では明確な答えは見つかっていなかった。
「氷に対して迷った部分があるかも」
ただ、その中で思い当たるのは氷の変化だ。高木はこう話した。