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エース高木美帆、初陣6位のウラに「氷に対して迷った部分があるかも」…本命1500mでメダル獲得のカギは?《高木&佐藤が語った“氷の変化”》
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2022/02/06 11:03
スピードスケート3000mで6位に終わった高木美帆。7日の本命1500mに向けて、何を修正するべきか
「先週よりも、(ブレードが)噛みやすくなっている、リンクが重たくなっていると感じた。もう少し(ブレードを)噛ませすぎないで、リズム良くというか、軽めに滑ろうとも思ったが、そこが最初の1周に生かし切れなかった。やりすぎた(軽くしすぎた)かもしれない」
そして、このようにも言った。
「自分がこの氷に対して迷った部分があるかもしれない」
最速を追求するスピードスケートでは、選手は氷の状態によって蹴るときのパワーのかけ方や足を動かすテンポを微妙に変える。元来、繊細な調整能力の高さを持つ高木だが、この日はスタート前にこれだという「正解」を見つけることができていなかったのだろう。
佐藤綾乃も語った“氷の変化”
氷の状態については、高木の後の第6組で滑って4分3秒40、9位だった佐藤綾乃が、「私の好みの氷だった」と言いつつ、詳細についてこのように説明した。
「昨日と一昨日は氷が柔らかく、室温も暖かく『どういう滑りをしたら良いのか』『足に来てしまいそう』と、不安に思う部分があった。でも、今朝滑ってみると、昨日より硬かった」
佐藤の証言によれば、日によって氷の状態がかなり違っていることが浮かび上がる。
サッカーとダンスで培った「強み」
思い返せば2009年12月のバンクーバー五輪代表選考会。当時、中学3年生だった高木が関係者の度肝を抜いた最初の種目が女子3000mだった。五輪の参加標準タイムを上回る4分13秒09で3位になった。
その数カ月前の夏は、サッカーボールを蹴っていた。2008年12月には日本サッカー協会主催の「ナショナルトレセン女子U-15」の合宿に招集されたほどの腕前。中学では男子にまじってFWとして活躍し、チームの全道大会出場に貢献した。姉の菜那と一緒にヒップホップダンスにも週1で通った。サッカーでは強靱な脚力が、ダンスでは柔軟な下半身が養われた。これがスケートに生かされた。重心の軸がぶれない巧みなカーブワークや、効率の良い滑りは当時からの武器だ。