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無為無策の典型モイーズがよもやの進化 ライスを筆頭に個々も輝く古豪ウェストハムが今季のプレミアをかき回す
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粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/12/25 17:00
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リバプールやチェルシーを撃破するなど好調を維持するウェストハム。質の高いタレントも揃っており、昨季を上回る成績を残せるか
好調だった2014-15シーズンは後半戦に失速
そうした個々のハイパフォーマンスもさることながら、モイーズ体制のウェストハムは攻守が美しいハーモニーを奏でている。シティのジョゼップ・グアルディオラ監督をして、「連動性はリーグ屈指」と言わしめたほどだ。
ほんの数年前まで、モイーズは無為無策の典型だった。選手のコンディション任せで、明確なプランがない。しかし、最近は対戦相手によってプレッシャーのかけ方を変えたり、ポゼッションとカウンターを使い分けたりするなど、多様性のあるフットボールを見せるようになった。
そして今シーズンは、シティとともに三強として評価されるリバプールとチェルシーを、ともに3-2で破っている。決して負けたくないだけのスタイルではなく、堂々と渡り合い3ポイントを勝ち取っている。
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ウェストハムを侮ってはいけない。
振り返ると、2014-15シーズンも前半戦は好調だった。今シーズンと同じく、16試合を消化した段階で8勝4分4敗。3位ユナイテッドに3ポイント差の4位だった。
スピードあるFWディアフラ・サコ、レフティーの技巧派MFスチュアート・ダウニング、大砲アンディ・キャロル、底知れぬポテンシャルを秘めたMFアレックス・ソングなど、要所に好選手を揃えていた。
しかし、サム・アラダイス監督が勝利の方法論を持っていなかったため、一度リズムが崩れると急降下。最終的には12位まで落ち、脇役すら演じられずに終わった。
CBが離脱も不安より期待が上回る
一方、モイーズは勝利の方法論に目覚めた感がある。
前述したライスやソーチェクの他にも、フィジカルモンスターのマイケル・アントニオ、敏捷なドリブラーのジャロッド・ボーウェン、ワンタッチプレーが秀逸な技巧派パブロ・フォルナルス、高精度のロングフィードとクロスが魅力のアーロン・クロスウェルなど、ビッグクラブでも通用しうるタレントを数多く擁している。
アンジェロ・オグボンナが前十字靭帯断裂で今シーズン絶望。クルト・ズマはハムストリングを痛めて2月中旬まで欠場。レギュラーCBの離脱は痛手だが、リーグ屈指の連動性と強豪を相手にしても一歩も引かない積極性で、難局を乗りきるのではとの期待が、主力不在の不安を上回る。
古豪ウェストハム……。昨シーズンの6位を上回れるか。そして、4位以内に入れるか。最後の最後まで、プレミアリーグをかき回してくれ!
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