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サウジ敗戦で中村憲剛が思い出す“南アW杯の直前ミーティング”「闘莉王が『地面に這いつくばってでもやるしかないだろ!』」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byJMPA
posted2021/10/12 11:02
日本代表のサウジアラビア戦で中村憲剛氏が思い出したのは、11年前の南アフリカW杯だった
また、森保監督が5枚目のカードを切って攻勢をかけたい終盤の時間帯で、サウジのルナール監督はその流れを止める、切るためにロスタイムに5人目の交代をしました。交代のタイミング、回数、変える枚数は、相手ながら絶妙なものだったと言わざるを得ません。
〈11年前の逆転劇〉テスト4連敗から「W杯ベスト16」へ
僕自身がメンバーのひとりだった南アフリカW杯の日本代表で、現在のチームと同じような苦境に立たされたことがあります。
あの時はW杯を前にテストマッチで4連敗し、メディアから厳しく批判されました。そこで僕ら選手は南アフリカに入ってからミーティングをして、それぞれの思いをぶつけ合いました。
最終的に田中マルクス闘莉王が、「オレらは出場32か国で一番下手なんだから、地面に這いつくばってでもやるしかないだろ」と言い、その言葉で「このままじゃ帰れない」と闘志に火がつきました。
ただ、ミーティングだけでチームがまとまったのではありません。初戦のカメルーン戦に勝ったから、まとまっていったのです。
ミーティングでとことん言い合って、「よし、これでいこう!」となり、それでも勝てなかったら、「これはもう無理だ」となってしまう。思いの丈をぶつけ合うミーティングを経ての勝利によって、目に見えて分かるぐらいにチームがまとまったのです。あの時ほどひとつの勝利の大きさによるまとまりを感じたことはありません。
そういう経験をしてきたので、12日のオーストラリア戦がこのチームの空気を大きく変える試合になることを、僕は強く願っています。大きなプレッシャーがかかるでしょう。だからこそ、戦況を変えられるビッグチャンスなのです。