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サウジ敗戦で中村憲剛が思い出す“南アW杯の直前ミーティング”「闘莉王が『地面に這いつくばってでもやるしかないだろ!』」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byJMPA
posted2021/10/12 11:02
日本代表のサウジアラビア戦で中村憲剛氏が思い出したのは、11年前の南アフリカW杯だった
選手はそれぞれに一戦一戦頑張っていると思います。ファイトしている。それでも負けるということは、それぞれの頑張りが大きなパワーになり得ていない。ベクトルを合わせようとしているけれど合っていない、ということなのでしょう。
これはもう、コミュニケーションを取るしかない。スタメンと戦いかたを決めるのは監督ですが、ピッチで戦うのは選手です。どれだけ熱量を持ってやれるか、観ている人たちの心を震わせるようなプレーをできるか、そしてどれだけチームのために戦えるか。
勝つ集団の選手たちは、自分が勝たせると思ってプレーしています。誰かがやってくれるのではなく、誰かに任せるのではなく、自分がこのチームを勝たせるんだという覚悟を持ってピッチに立っている。勝利のためにチームのベースがあるなかで自分の個性を出す、という決意を固めているものです。
運命のオーストラリア戦、注目する選手は…?
オーストラリアはDFラインからビルドアップをして、丁寧につないでくるチームです。グラハム・アーノルド監督の選手起用も含めて、何をやってくるのか分からないチームではありません。3試合やっていますし、ある程度の戦いかたは分析できているでしょう。布陣をコンパクトに保ち、いつ、どこからプレスにいくのかをしっかり合わせることができれば、うまく引っ掛けることはできると思います。
個人的には伊東純也に注目します。累積警告でサウジ戦に出場できなかった悔しさを、オーストラリア相手に爆発させて欲しいと思います。9月の中国戦で見せた前線からのプレスで、相手守備陣に圧力をかけてくれると期待します。
オーストラリアに勝てば、勝点差は「3」に縮まります。オーストラリアとサウジは11月に直接対決があり、日本が勝っていけば勝点差はさらに詰められる。また、ホームでオーストラリアに勝つという事実は、同じグループの他の国にも伝わるので、グループリーグの空気も大きく変わるものになると思います。
勝てば戦況は大きく変えられますが、現時点で崖っぷちに立たされているのは間違いありません。引き分けも許されない大勝負です。選手たちがプライドと意地のすべてを見せて、勝利をつかんでくれることを願っています。
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