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白鵬全休でやっぱり照ノ富士独走…“ちょっと味気ない”大相撲秋場所のムードを変えそうな2人の力士
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荒井太郎Taro Arai
photograph byKYODO
posted2021/09/21 17:02
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大相撲秋場所9日目、大栄翔(手前)に寄り切りで敗れた照ノ富士
この日は執拗にさがりを掴むなど、なぜか差し身にこだわった。いったんは右のおっつけで相手の出足を止めたものの、大栄翔が左から突き起こそうとしたところでいつもなら下からあてがって圧力を逃がしつつ、低い体勢で押し込んで圧力をかけて攻めるはずが、右は相手のさがりを放さず終始、差しにいこうとする動きに見えた。
師匠でもある伊勢ヶ濱審判部長(元横綱旭富士)は「いつもより気合いが不足している感じがしたかな」と語っていたという。いくら心技体が充実した横綱でもマックスの集中力を持続したまま、15日間の長丁場を乗り切るのは至難の業だ。依然として照ノ富士有利の展開は変わらず、うまく気持ちを切り替えていけば問題はないと思われる。しかし、一発のある押し相撲タイプに嫌なイメージを抱いてしまったとすれば、関脇御嶽海や大関貴景勝との対戦を残す終盤戦は一転、大混戦に陥る可能性もなくはない。
その御嶽海はいいときと悪いときの相撲の差が両極端であり、この先を占うのは難しいが調子自体は悪くなさそうだ。優勝2回、三役在位は連続8場所目、通算では26場所目と実績は申し分ない。場所前の「新横綱に初黒星をつけたいという気持ちでいる」という発言は、すでに大栄翔に先を越されたものの何となく不気味に聞こえてくる。
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カド番場所で3連敗スタートと大きく出遅れた貴景勝は9日目にして初めて白星が先行した。本人は先場所痛めた首の影響について「大丈夫です」と話すが、序盤戦は好調時に比べてぶちかましの威力不足は否めず、勝ち越しすら危ぶまれた。苦しい立場に変わりはないが、中盤以降は徐々に本来の相撲が戻りつつあり、この先、優勝争いのカギを握る存在になるかもしれない。
8日目の時点で3敗と今ひとつ波に乗り切れてない大関正代も5日目の若隆景戦で見せた、当たった瞬間に相手の腰が砕けるほどの強烈な立ち合いが横綱戦でも出せれば、面白い展開になりそうだ。
盤石だった横綱の初黒星が果たして、これから対戦する上位陣の気勢を上げる狼煙になるのか。味気ないと思われた優勝争いは、にわかに風雲急を告げそうな気配がしてきた。
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