白鵬全休でやっぱり照ノ富士独走…“ちょっと味気ない”大相撲秋場所のムードを変えそうな2人の力士

　3場所ぶりに番付の東西に横綱が並び立った秋場所。しかし先場所、長期連続休場から奇跡の復活優勝を果たした白鵬は、所属する宮城野部屋で新型コロナウイルス感染者が相次いだことにより休場。新横綱の照ノ富士はいきなり一人横綱として土俵に上がることになり、図らずも角界最高位としての重圧を一身に背負うことになった。

　注目の初日は鋭く踏み込んで左上手を取ると引きつけながら休まず攻め立て、小結逸ノ城を危なげなく寄り切り。新横綱初日のプレッシャーは微塵も感じられず、本人も「特にないですね」と言い切った。

　2日目以降も快調に白星を積み上げていく。善戦する相手はいるにはいたものの横綱を慌てさせるまでには至らず。8日目は玉鷲が左からのおっつけと右のど輪で土俵際まで追い詰めるが照ノ富士は冷静だった。顔が上を向きながらも相手ののど輪を下からあてがって外すともろ差しとなり、両廻しを引きつけて寄り切り。幕内ではただ1人全勝で場所を折り返した。

　右四つ、左上手を取って組み止めれば“鬼に金棒”。懐に入られても両かいなでガッチリと抱え込み、ロックすれば相手は何もできない。突っ張られても両膝をしっかり曲げ、前傾姿勢を保って下から相手の突き手を撥ね上げながら押し込んでいく。力強さとうまさを兼ね備えた取り口は初日から全く隙が無く、29歳の日下開山からはすでに風格すら漂っていた。

波乱を起こしそうな“2人の力士”

　前半戦を終えた時点で優勝戦線は早くも独走のムードが漂い始め、対抗馬を挙げることすら難しい状況だったが9日目に波乱が起きる。

　三役経験者の大栄翔が繰り出すパワー全開の突き押しに上体を起こされた照ノ富士はなすすべなく土俵を割り、9日目にして初の金星配給となった。

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