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北京五輪銀の塚原直貴が“教え子”のデーデー・ブルーノへ「もっとアピールしていい」「アンカーが向いている」 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byJIJI PRESS

posted2021/08/04 17:01

北京五輪銀の塚原直貴が“教え子”のデーデー・ブルーノへ「もっとアピールしていい」「アンカーが向いている」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

東京五輪のリレーメンバーとして日本代表の練習に参加したデーデー・ブルーノ

「彼はとても素直な選手です。トップアスリートの多くが、意見を素直に聞く力を持っていると思います。トレーニングなどについてのアドバイスをした際に、デーデーは自分に良いと思ったことを受け入れ、実行するだけではなく、それを続ける力もあります。選手村にもトレーニングに必要なものを持っていくはずです。そういった競技への姿勢は失わずに持っていてほしいと思っています。五輪ではトップ選手を目の当たりにして、浮き足立つような場面もあるかもしれません。でも背伸びしないことが大事。それは心に留めておいてほしいです」

「パリ五輪を目指して9秒台を出したいなら……」

 普段は物腰が柔らかく遠慮がちな選手だけに、心配な部分もあるという。

「今大会のリレーメンバーには9秒台が3人いて、僕らの頃よりも選手層が厚くなっています。それはチームにとって好材料で、誰がどの走順でも結果は出ると思います。ただ個人的には『俺にx走を任せてほしい!』ともっとアピールがあってもいいのではと思います。僕は北京五輪の前にはアキレス腱痛などもあって苦しい日々を送りましたが、『自分が欠けるわけにはいかない』という覚悟を持っていましたし、その覚悟が気持ちの支えでもありました。

 デーデーはレース内容から見て、後半の伸びがある選手なのでアンカーが向いていると思います。チャンスがあるなしに関わらず、覚悟、強い気持ちを持って臨んでほしい。パリ五輪を目指している、9秒台を出したい、と言うなら、その目標に向かって迷いなく進んで欲しいです」

 大会期間中、多くのトップ選手に触れるチャンスがあるが、その点についても言及する。

「デーデーは選手パスを持っているので、サブトラックに入ったり、現場でレースを見ることができます。それは選手パスを持っている人間だけに与えられる権利です。特に今回は無観客で、いくら生でレースが見たくても叶わない現役選手も多い。デーデーにはファイナリストたちがサブトラックでどんなアップをして、どんなことをしているのか、時間があるときには必ず競技場を訪れ、肌で感じて欲しいと思っています。たくさん吸収して戻って来るのを楽しみにしています」

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