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井岡一翔の「薬物疑惑」騒動はなぜ起きたのか? 謝罪したJBCが“すべきではなかった”こととは
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渋谷淳Jun Shibuya
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posted2021/07/14 17:02
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7月12日の記者会見にて、JBCの永田有平理事長(右)を見つめるWBOスーパーフライ級王者の井岡一翔
そして警察への情報提供は結果的に週刊誌報道を後押ししたとも言えないだろうか。ドーピング疑惑を報じるにあたって、「警察が捜査に入った」という事実は報じる側に自信を持たせたはずだ。ただのうわさじゃない、だって警察が家宅捜索に入ったじゃないかと。JBCは情報漏洩の犯人捜しに躍起になっているように見えるが、家宅捜索をすれば近所の人だって気がつくし、警察からメディアに情報が漏れることだってある。JBC内部やその周辺からの情報がなくても、どこかのメディアが嗅ぎつけることは十分にあり得る。
責任の所在をはっきりさせる必要がある
誹謗・中傷にいたっても警察が捜査したという事実は、井岡への心証を大いに悪くしたことだろう。こうした面からも問題の核心は「警察への情報提供」にあると言えるのだ。
倫理委員会の答申書によると、JBCは禁止薬物が検出されたあと、これを警察に相談すべきかどうかを話し合った。最終的には会議に出席していた弁護士が所属する法律事務所に相談した上で警視庁富坂署に情報を提供した――とある。
答申書はJBCが警察に届け出たことの是非については言及しなかった。それはいいとしても、なぜこのような誤った判断をしてしまったのか、その経緯と原因はもっと詳しく調査されるべきだし、責任の所在をはっきりさせる必要があると思う。いくらドーピング検査の手法を改善したとしても、それがなければ“井岡ドーピング疑惑騒動”を解決したことにならない。情報漏洩調査委員会の調査がどこまで及ぶのかは分らないが、ぜひとも問題の核心である「警察への情報提供」についてより突っ込んだ説明をしてほしいと思う。
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