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米100万人が熱狂 “モンスター”井上尚弥「ドネアとカシメロ、どっちと戦う?」「日本開催はあり得るのか?」
posted2021/06/28 17:04
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
予想通りの結果ではあっても、やはり“モンスター”が生み出したインパクトは大きかった。
6月19日、ラスベガスで行われたWBA・IBF世界バンタム級タイトル戦は、王者・井上尚弥(大橋)が挑戦者マイケル・ダスマリナス(フィリピン)に3回TKO勝利。すべてボディブローで3度のダウンを奪っての圧勝劇が、井上の“倒し屋”としてのイメージを増幅させる内容であったことは間違いあるまい。
ドネアもびっくり「レベルが違った」
「1ラウンド1発目を合わせた段階で、ダスマリナスの表情もちょっと気が引けたような感じがあった。そこからもう自分のペースでいけましたね」
井上がそう振り返った通り、実際にはボディで倒す以前の開始約20秒、相手のジャブにカウンターの左フックを合わせた時点で試合は終わっていたのかもしれない。
ダスマリナスはIBF1位の指名挑戦者ではあったが、事前からレベルの違いは喧伝されていた。その下馬評通りにあっさりと仕事を終えたことで、井上はハイレベルの力量を改めて本場アメリカでアピールした感がある。
「レベルが違ったのは確かです。ただ、たとえ格下が相手でも周囲の期待通りの形でKOするのは簡単なことではありません。井上の出来が良かったからそれが可能になったのだと考えています」
宿敵ノニト・ドネア(フィリピン)のそんな意見に代表されるように、米国内での今戦の評判は上々。早い結末でも「物足りない」といった声はほとんど聞こえてこなかった。
“モンスター”に「米国100万人以上」が注目
ESPNで全米生中継されたこの試合は平均約81万8000件の視聴件数を記録したという。一部の日本メディアが伝えた「ESPNで放送された2021年のボクシング中継で2位の数字」という報道は事実ではない。ただ、アメリカ東海岸ではAM12:30頃にゴングという厳しい条件だったにもかかわらず、次期スター候補と期待されるシャクール・スティーブンソン(アメリカ)の12日の試合での平均85万7000件に迫る数字を挙げたのは評価されるべきだろう。