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「私が見てきた中で最も結束力が」アーセナルOBが“ココだけに書くイングランド躍進の理由” EURO序盤はイマイチ評価も…
posted2021/07/11 17:04
text by
エイドリアン・クラークAdrian Clarke
photograph by
REUTERS/AFLO
イングランド代表が、55年ぶりに国際主要大会で決勝進出を果たした。
筆者は1974年生まれの46歳で、97年までアーセナルに在籍した。イングランド人の一人として、そして元サッカー選手として、ファイナルに進出したイングランド代表の戦いを万感の思いで見守っている。
もちろん、決勝進出に感情を爆発させたのは私だけではない。イングランドが国際ビッグトーナメントでトロフィーを掲げたのは、自国開催となった66年W杯が最後。私が生まれる前の出来事である。これまで幾多の挫折と屈辱を散々味わってきただけに、トロフィーまであと一歩のところまで近づいたことに国全体が喜びを噛み締めているのだ。ついに、ここまで来たのか──と。
準決勝後、イングランド中がお祭り騒ぎ
120分間の激闘の末に準決勝でデンマークを下すと、イングランド中がお祭り騒ぎとなった。試合後の英テレビ局ITVは、トップニュースで決勝進出を報じた。普段はスタジオ出演のメインキャスターが現地入りし、ウェンブリースタジアムから一報を伝える熱の入れようだった。試合翌日になっても興奮は収まらない。
英BBC放送の朝の情報番組では冒頭30分にわたって歴史的な勝利を報道。躍進に大きな貢献を果たしたラヒーム・スターリングの通った小学校から中継を結んだ。ジャマイカ系移民のスターリングは、ウェンブリースタジアムと目と鼻の先にある地域で子供時代を過ごした。子どもたちがサッカーに興じる校庭からウェンブリースタジアムの象徴的存在であるアーチがハッキリと見えていたのが印象的で、校長先生は「ラヒームは我が校の誇りです」と胸を張っていた。
評判が芳しくなかった指揮官の慎重な采配
さて、欧州選手権における今回のイングランド代表である。
クロアチア、スコットランド、チェコと同居したグループステージは2勝1分で1位通過を果たしたが、英国内の評価は必ずしも芳しいものではなかった。
原因は、ガレス・サウスゲート監督の慎重な采配にあった。