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遠藤渓太&原口元気のウニオン、戦術は“ハリル型っぽい”? 日本代表が“W杯で格上に勝つ”ため参考になるスタイルとは
posted2021/07/12 06:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images/JMPA
ワールドクラスのタレントがいないなら、知恵をしぼるだけだろう。
ヨーロッパの小国スイスからやってきたウルス・フィッシャー監督の落ち着き払った言動を見ていると、そう思わせられる。
現在もチーム編成作業は続いているので、以下はあくまでも昨シーズンのデータである。それでもやはり、遠藤渓太が所属し、原口元気が加わったウニオン・ベルリンの特徴はハッキリしている。
『Transfermarkt.de』の算定する選手の市場評価額ではリーグで下から2番目で、約75億円(約5700万ユーロ)だ。これはバイエルンの12分の1以下。平均年俸はリーグで3番目に低く、総額は約23億円(約1729万ユーロ)とJリーグのクラブでも対抗できそうな額だ。同じドイツで比べると1位バイエルンの約14分の1、2位ドルトムントの約7分の1だった。
お金がないということはサッカー界では、独力で局面を打開できる選手が少ないということを意味する。ただ、それでも工夫次第で格上とされるチームを倒していくことができる。それがサッカーの面白さである。
選手にかけられる予算がリーグで16~17番目のウニオンが、昨シーズンは7位に食いこんだのだから。
ウニオンの戦い方は日本代表の参考になる
フィッシャー監督には選手起用の妙と、シンプルな戦術を徹底して植えつけるという2つの魅力がある。
今回は後者の、彼のシンプルな戦い方のルールについて深掘りしていく。
それはW杯やオリンピックのような舞台では格上と戦うことになる日本代表に参考になる部分であり、新シーズンから2人の日本人選手がどう活躍するかを予想できるからだ。
2020-21シーズン大躍進の要因の1つが守備力で、このシーズンで王者バイエルンに一度も負けなかった唯一のチームだ。
彼らが34試合で許したのは、43ゴールだけ。リーグで4番目に少ない失点数だった。
失点が少ないのは、守備ブロックを敷いてから最終ラインが相手の攻撃的な選手をマンマーク気味で守ることを基本にしつつ、いくつかのシチュエーションではアグレッシブに前からプレスにいくこともできるチームだったから。