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牧野紘子が考える水泳と人生の関係。
早慶戦、東京五輪、池江たち同世代。 

text by

青柳香穂

青柳香穂Kaho Aoyagi

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photograph byWASEDA SPORTS PRESS

posted2020/08/27 17:00

牧野紘子が考える水泳と人生の関係。早慶戦、東京五輪、池江たち同世代。<Number Web> photograph by WASEDA SPORTS PRESS

リオ五輪への出場は叶わなかった牧野紘子だが、同世代初のオリンピックメダリストになるポテンシャルは十分に有している。

五輪延期で心配した相手は……。

 2020年4月の日本選手権は4年越しの悔しさを晴らす舞台になるはずだったが、五輪の延期にともなって代表選考会も来年に持ち越された。

 しかし五輪の延期を聞いて牧野が心を痛めたのは、自分のことではなかったという。

「私はまだ大学生なので次の五輪とか簡単に言えるんですけど、やっぱり20代後半の選手とか頑張っているのを合宿で見てきたので。その選手のことを考えると、この延期がどういう意味を持っているのか、重さを感じました。東京五輪や五輪代表選考会まで頑張ると話していた社会人の選手の中には、最近引退を発表した方もいますし……」

パリの後は水泳界を離れる?

 そして現在大学3年生の牧野自身も、進路を本格的に考える時期に差し掛かっている。しかし本人に五輪延期のキャリアへの影響を尋ねると、意外な答えが返ってきた。

「2024年まで水泳を続けて、その後は水泳と関係ない道に行きたいと思っているんです。なので、五輪とキャリアは別のものとして捉えています。確かに五輪に出場して良い成績が収められれば、就職の面接などで強みになったとは思いますが……」

 現役選手として東京とパリの五輪を目指しつつ、その先では水泳から離れたキャリアプランを立てているのである。コーチやトレーナーという形で水泳界に残ることについては「私あんまりスポーツ選手向いていないんですよ。だからなんか疲れちゃうかなと思って(笑)」とサッパリした答えだった。

 実際、牧野は教育学部で初等教育学を専攻しており、小学校の先生になることを考えている。教職への興味は大学入学前からのもので、大学で教鞭を取る両親の影響もある。だからこそ早稲田大に入学する際も、多くのトップアスリートが所属するスポーツ科学部ではなく教育学部を選んだ。

 この春学期は練習の中止期間があったことに加えて授業もオンラインになり、多くの単位をとることができた。秋学期、そして五輪が待つ来年に少しでも余裕を持たせるためだ。今の悩みは、秋学期の教育実習に行けないことだという。 

「でも今は泳いでいるのが楽しいので、キャリアについてはそんなに深く考えてないですね。まずは来年五輪があるので、そこで結果を出せるようにやれることをやっていこうと思っています」

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