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牧野紘子が考える水泳と人生の関係。
早慶戦、東京五輪、池江たち同世代。
posted2020/08/27 17:00
text by
青柳香穂Kaho Aoyagi
photograph by
WASEDA SPORTS PRESS
8月28日、東京辰巳国際水泳場で第92回早慶対抗水上競技大会が行われる。その名の通り、早稲田大学と慶應大学が競泳や水球で競う大会である。
新型コロナウイルスの影響で、東京五輪の代表選考会だった日本選手権をはじめジャパンオープン、インターハイ、全中と、今シーズンの日本水泳連盟主催の大会はほぼ全てが中止になった。
つまりこの早慶戦は、選手たちにとって待望の公式戦ということになる。
選手たちのレベルも単なる大学同士の対抗戦には収まらない。近年の卒業生だけでも星奈津美、瀬戸大也、坂井聖人(早稲田)、立石諒(慶應)らが、大学在籍中に五輪メダルを獲得してきた。そんな多くのトップ選手を育てた水泳の早慶戦だが、今大会もっとも大きな注目を集めている1人が、早稲田大の牧野紘子だ。
現在大学3年生。得意種目は200mバタフライで、世界水泳にも2017年、2019年と2度出場している。以前は個人メドレーがメインだったが、2017年日本選手権の女子200mバタフライで日本代表の座を射止めたことをきっかけに主戦場を移した。
世界水泳では目立った結果を残せていないものの、2019年には日本選手権で初優勝を果たし、着実にステップアップしてきた選手の1人である。
女子200mバタフライは混戦模様。
2019年の世界水泳で男子200mバタフライは世界記録が更新された一方で、女子200mは世界的に停滞が続いており、2008年前後に流行った高速水着での世界記録が残っている女子で唯一の競技でもある。2017年と2019年の世界水泳では、決勝進出ラインが1秒以上も遅くなった。
一方でそれは、多くの選手にチャンスがある状況とも捉えられる。牧野の持つ2分6秒92という自己ベストは、2019年の世界水泳に当てはめると3位相当のタイムだ。東京五輪でメダルを取る可能性も十分にあると言える。