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牧野紘子が考える水泳と人生の関係。
早慶戦、東京五輪、池江たち同世代。
text by
青柳香穂Kaho Aoyagi
photograph byWASEDA SPORTS PRESS
posted2020/08/27 17:00
リオ五輪への出場は叶わなかった牧野紘子だが、同世代初のオリンピックメダリストになるポテンシャルは十分に有している。
普段は謙虚だが、漂う自信。
とはいえ、女子200mバタフライも国内の代表争いが激しい種目の1つである。昨年の日本選手権の決勝には、牧野を含めて代表経験者が5人残っている。
それでも、もし今季代表選考会があれば出場権を手にすることができたのかと尋ねると、牧野から返ってきたのは、「行けたと思います」という自信を含んだ言葉だった。
普段は「弱いところばかり目がいってしまう」と謙虚な発言が多いタイプなだけに、練習で積み上げた手応えの確かさが窺えた。
「同世代の選手がみんな五輪へ」
小さい頃から、牧野にとって五輪は身近な存在だった。幼少期に通っていた東京スイミングセンターには北島康介、寺川綾、中村礼子といった錚々たる顔ぶれが所属していたため日常的に交流があり、2008年の北京五輪では「ちびっ子応援団」の1人にも選ばれている。
小学校高学年になる頃には自然に五輪を目指すようになり、2015年に高校に入学する頃には、決して手の届かない夢ではなくなっていた。
しかし、高2で迎えたリオ五輪への出場は叶わなかった。
本人いわく「タイム的にも順位的にも選考会前の時点でだいぶあげないと難しい位置にいて、うまくいけばワンチャンという感じ」という立ち位置だったが、日本選手権では4位に終わり、五輪出場も表彰台も逃した。
そして同学年の長谷川涼香(日本大学、東京ドーム)や持田早智(日本大学、ルネサンス)、1つ年下の池江璃花子(日本大学、ルネサンス)、今井月(東洋大学、日本コカ・コーラ)が次々と代表入りを果たしたことも牧野にとってはショックだった。
「同世代の選手がみんな五輪へ行ってしまった悔しさの方が大きくて、1カ月くらい引きずりました」