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私のJ最強クラブ。2018年J1連覇、
フロンターレの風格は現在進行形。
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いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/05/19 20:00
![私のJ最強クラブ。2018年J1連覇、フロンターレの風格は現在進行形。<Number Web> photograph by J.LEAGUE](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/5/7/700/img_57df27b52a508a94f1b9f1c4a19477e6229759.jpg)
2017年のJ1初制覇に続き、風格を漂わせる連覇を達成。フロンターレを応援する人全員がその成熟ぶりを感じたことだろう。
登里が語る「足りなかったもの」。
その翌年、2017年のルヴァンカップ決勝のセレッソ大阪戦もそうかもしれない。
リーグ戦負けなしが続き、自信を持って臨んだが、開始1分にも満たない時間帯に失点。開始直後の思わぬビハインドに選手たちはどこかリズムを崩し、結局、最後まで巻き返せぬままだった。大一番でいつも通りの実力を発揮できない脆さが響き、タイトルを逃し続けてしまう負の歴史が川崎にはあった。
だが前年度に劇的な初優勝を遂げたことが成功体験となって、チームと選手たちも明らかに変わった。それが「王者のメンタリティー」と呼ばれるものかどうかはわからないが、これまでにない経験値が備わってきたのは確かだった。
これは今年の談話だが、2009年から在籍している登里享平が「結果論かもしれないですけど」と前置きしつつ、こんな風に話してくれたことがある。
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「タイトルを取ったら取ったで、足りなかったものもわかった。前は勝たなあかんと思って硬くなる……そういう雰囲気があったかもしれません。今は、リラックスしている。優勝した時がそう。タイトルを取るときの空気感、チームの雰囲気、練習の雰囲気、ピッチ内でもピッチ外でもやっぱり違った。それで2連覇したし、ルヴァンも取れました」
やはり、あるのだろう。勝たなければ、見えないものが。
天王山で先制されても慌てず逆転。
話を2018年に戻すと、天王山となったエディオンスタジアム広島での広島戦では見事な逆転勝ちをおさめている。後半に敵地で先制を許すという厳しい展開だったが、ピッチ上の選手たちは動じなかった。試合後の阿部浩之が証言する。
「焦りはなかったですね。後半に失点しましたけど、時間もまだあったので逆転できるという感覚はありました」
慌てず、焦らず、たじろがない。実際、すぐに追いついて、さらにゲームをひっくり返した。そしてしぶとく勝ち切る。首位相手に、敵地での逆転勝ち。記者席から観戦していて、その落ち着いた戦いぶりはたくましさを感じるほどだった。
直接対決を制した川崎は、その後も勝ち点を加算。一方の広島は失速し、第28節後にはついに順位が入れ替わり、川崎が首位に浮上している。