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私のJ最強クラブ。2018年J1連覇、
フロンターレの風格は現在進行形。
posted2020/05/19 20:00
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
J.LEAGUE
総得点57はリーグ最多、総失点27はリーグ最少。
J1が18チーム制になった2005年以降、2シーズン制の'15年と'16年を除いて、最多得点と最少失点でリーグトップを記録したチームは史上初である。
数字だけではない。
初優勝を遂げた2017年の主力をベースに、攻守のコンビネーションに磨きをかけたチームが表現するサッカーは、芸術点をつけるとしても高いものがあった。
もちろんサッカーに芸術点はないのだが、例えば連覇が近づいた第30節のヴィッセル神戸戦では、34本のパスをつないで崩し切る美しいゴールを披露。複数の選手がイメージを共有しながら技術を駆使して連動し、最後に大島僚太が仕上げた得点は、その年のJリーグ最優秀ゴール賞に輝いている。
Jリーグベストイレブンには同一クラブから過去最多に並ぶ7人が選出され、MVPを家長昭博が初受賞した。
平成最後のシーズンを連覇で締めくくった2018年の川崎フロンターレは、Jリーグの歴史に名を残すにふさわしい強さだったと言えるはずだ。
勝ち点差13を逆転し、同12差で連覇。
とりわけ語っていきたいのが、シーズン後半に見せた強さである。
シーズン前半は広島が独走状態となり、その勝ち点差は最大で13あった。しかし夏場以降にその差をみるみると縮めていくと、最終的には12の勝ち点差をつけて連覇を決めている。
この時期にチームを取材していて感じた変化がある。
それは、試合中はもちろんのこと、練習中での雰囲気を含め、チーム全体から伝わる余裕と落ち着きである。
例えば、夏場の天王山となったサンフレッチェ広島戦(第23節)を控えた練習時のこと。その勝ち点差は9だった。台風により延期されていた湘南ベルマーレ戦が1試合未消化だったため、実質的には6~9ポイント差だが、首位との直接対決である以上、勝たなければ連覇が絶望的になりかねない。
川崎からすれば、引き分けすらも許されない崖っぷちのシチュエーションだった。