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私のJ最強クラブ。2018年J1連覇、
フロンターレの風格は現在進行形。 

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/05/19 20:00

私のJ最強クラブ。2018年J1連覇、フロンターレの風格は現在進行形。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

2017年のJ1初制覇に続き、風格を漂わせる連覇を達成。フロンターレを応援する人全員がその成熟ぶりを感じたことだろう。

難敵・鹿島にも勝ち点3を与えず。

 その直後の第29節、カシマスタジアムで最大の難所を迎える。

 この年、ACLも並行して勝ち抜いていた鹿島は、公式戦7連勝という上り調子でリーグも3位に浮上。もしこの直接対決で川崎に勝てば、残り5試合で勝ち点差8まで縮められる状況だった。昨年優勝を奪われた川崎を抜いて逆転する――そんなシナリオを描いていた鹿島からすれば、またとないチャンスだった。

 だがそんな難敵にも、川崎は粘り強く応戦した。

 10月ながらクーリングブレイクが設けられるという過酷な暑さの中、終盤に阿部浩之の退場で10人になるものの、負けない戦いを徹底。スコアレスドローで終わったが、鹿島を優勝争いから大きく後退させることに成功している。中村憲剛は過去の激闘の記憶を引き合いに出しながら、胸を張った。

「今までのフロンターレだったら、最後のセットプレーが続いたときに隙を見せてやられて、1-0で勝ち点3を持っていかれる。そういう歴史があった。そこのタフさはチームにあった。最後、声を掛け合っていたし、球際もそう。相手に勝ち点3を与えないで、こっちが勝ち点1を積み上げることができた」

 難所の鹿島戦を乗り越えると、ヴィッセル神戸、柏レイソルを撃破して連覇に王手をかけた。セレッソ大阪戦には敗れたものの、残り2試合を残して優勝が決定。J1史上5クラブ目の連覇を達成したクラブとなった。

優勝で泣かなかった憲剛の心境。

 優勝が決まったときの光景も印象的だ。

 試合終了後、ピッチにいた中村憲剛は「優勝?」とベンチに他会場の結果を確認した後、手を叩きながら味方と喜びを分かち合っている。それは、泣き崩れた1年前とも違った歓喜の姿だった。中村が言う。

「去年は僕自身は15年分の、クラブとしては20何年の積み重ねや思いが等々力ですごく爆発した。今年は泣いてないということは、やっぱり自分たちがそれだけ成熟して、強くなってきたということだと思います」

 この言葉が示すように、「成熟」という表現がふさわしいのが2018年の川崎だった。

【次ページ】 このチームは現在進行形、である。

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