“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J1札幌内定の2mGK中野小次郎。
伸び続ける身長に悩み苦しんだ過去。
posted2020/05/19 11:40
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
身長200.5cm。規格外の高さを誇る法政大GK中野小次郎は、そのサイズとハイボールの強さやセービングセンスに加え、左足のキック精度の高さを買われ、昨年10月に北海道コンサドーレ札幌入りが内定した。
現在、日本の長身GKと言えば、197cmのシュミット・ダニエル(シント・トロイデン/ベルギー)、195cmの林彰洋(FC東京)が挙げられる。かつてJリーガーの中で日本人最長身GKを誇っていたのは元鹿島アントラーズのGK八木直生の199cm。世界に目を向けても、“大型”と呼ばれるベルギーのティボワ・クルトワ(レアル・マドリー/スペイン)やオランダの英雄ファン・デル・サールですら、それぞれ199cm、197cmだ。2m越えとなると、DF吉田麻也の元同僚のフレイザー・フォースター(201cm、セルティック/スコットランド)と、そう多くはない。中野がいかに希少な存在なのかがわかるだろう。
日本待望の超大型守護神――。誰もが将来を期待したくなるポテンシャルだが、その特異な長所は思春期以降の彼を大きく苦しめてきたのもまた事実だった。
遊びで始めたGK、見つけた居場所。
1999年3月5日、徳島県出身。城東高校バスケットボール部でインターハイに出場した経歴を持つ187cmの父と、岡山県北部出身でアルペンスキーの選手だった170cmの母の間に生まれた中野は、小学校卒業時にはすでに163cm。中学3年間では27cmも伸び、高校入学前の時点で190cmに達していた。
サッカーに触れるきっかけは小1の時、父に連れて行ってもらった徳島ヴォルティスの試合を観たことだった。もともと野球が盛んな徳島だけに、当初はバットとグローブを持ったが、ヴォルティスのスタジアムへ頻繁に足を運ぶようになったことでサッカーにのめり込んでいった。
GKを始めたのは小5。それまで左利きの特性を生かして左サイドが主戦場だった。さらに高さを生かしてFWをやったりと、フィールドポジションを転々。「下手くそでしたね」と芽が出なかった。しかし、地区トレセンで休憩時間に遊びでGKをしている姿が指導者の目に留まってコンバート。「このままフィールドでプレーし続けても厳しいし、GKで勝負していこうと思った」と居場所が明確となった。