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コロナ禍“日本人追い出し騒動”の
翻訳記事と、ドイツ在住記者の思い。 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2020/04/15 11:40

コロナ禍“日本人追い出し騒動”の翻訳記事と、ドイツ在住記者の思い。<Number Web> photograph by Getty Images

日本人観客が退出させられたニュースが大きく報じられたが、RBライプツィヒが取った対応についても心に留めておきたい。

ミスコミュニケーションの積み重ね。

 当時はドイツでも無観客試合を検討し始めていた時期だ。ロベルトコッホ研究所からは新型コロナウイルス感染が広がっている当該地域から来ている、あるいは帰ってきた人は14日間自宅隔離という通達が出始めた時期でもある。

 つまり、ドイツ国内が新型コロナウイルスに神経質になり始めていて、それでいてまだ実態がつかめていないことで怖さを感じだしていた頃の話だ。

 実際、その時点では日本は当該地域に入っていなかった。中国での広がりを知る欧州人からすると、数多くの団体客がいることで危機感を募らせたのだろう。

 様々なミスコミュニケーションの積み重なりから、こうした事態に発展してしまったというのが実情である。

 クラブサイドが発表しているように、今回の判断と対応はミスだ。日本人団体は試合を見る資格があったし、それが叶わないというのはあってはならないこと。せっかくの観戦機会を失ったことが許されることではない。

クラブはしっかり義を尽くした。

 だからこそライプツィヒは、セキュリティチームのミスとするのではなくクラブのミスとして、しっかり謝罪をしている。

 クラブは担当者に連絡を取り、日本人グループを招待。CEOオリバー・ミンツラフらが直接謝罪をした。また、その翌週土曜日に行なわれたヴォルフスブルクでのアウェー戦に全員を招待している。

 試合観戦以外にも全員にユニホームなどをプレゼントし、ヴォルフスブルクまでのバスをチャーター。午前中は町にあるフォルクスワーゲンのテーマ施設「アウトシュタット」見学をアレンジし、お昼にはビュッフェ形式の食事も準備と十二分のことをしている。

 また公式ホームページの謝罪文でおしまいではなく、反省していますとのコメントだけしてうやむやにするのでもなく、気持ちを込めてできる限りの義を尽くそうとした。

【次ページ】 改善した姿勢をどれだけ報じたか。

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