サムライブルーの原材料BACK NUMBER
サッカー人生で一番の試練を越えて。
細貝萌、タイで感じる充実と喜び。
posted2020/04/14 20:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
True Bangkok United
世界中が、見えない敵と向き合っている。
猛威を振るう新型コロナウイルス。東南アジアのタイも3月26日に非常事態宣言が出され、特定時間における外出などが禁じられている。タイ・リーグ1も3月1日の試合を最後に中断となった。
タイに渡って2年目。細貝萌は今シーズン、ブリーラム・ユナイテッドからバンコク・ユナイテッドに期限付き移籍し、家族とともに首都バンコクに移り住んでいる。
彼のブログには日常がマメにアップされている。SNSでファンから受け付けた質問に応えるなど、自宅で過ごす時間が増えたことによってファンサービスにも工夫を凝らしている。
スペインの香川や岡崎と話したこと。
「お久しぶりですね。日本も大変だと思いますけど、大丈夫ですか?」
どんなときでも相手を気遣うのは彼らしい。4月上旬に行なったリモートでのインタビューでまず聞いておきたかったのは、細貝が置かれている現状である。
「外に出るのはチームのトレーニングとスーパーマーケットに行くときだけですね。新型コロナウイルスに対する不安はあります。妻、3歳の娘も一緒にいますから。今、自分がやれるのは感染しないように心掛けること、そして(リーグ再開を見据えて)しっかりと準備していくこと。
この前、スペインにいる香川(真司)、岡崎(慎司)と話をしたんです。状況の見通しが立たないなかでも彼らは自宅で精いっぱいトレーニングをやっています。直接話を聞くことで僕も感じるところがありました。
サッカーをやっている場所は違っても、彼らだけじゃなく、(本田)圭佑、(長友)佑都をはじめ仲間はみんなつながっている。“俺も負けないようにしなきゃ”って思いました」
いかなるときも前を向こうとするのも実に彼らしいと思えた。